【映画】バケモノの子

キミとなら、強くなれる。

 

どうも、wataizuです。今日レビューする映画は今年の7月に公開されたアニメ映画の監督を務めた方の過去作です。

 

人間界「渋谷」とバケモノ界「渋天街」は、交わることのない二つの世界。ある日、渋谷にいた少年が渋天街のバケモノ・熊徹に出会う。少年は強くなるために渋天街で熊徹の弟子となり、熊徹は少年を九太と命名。ある日、成長して渋谷へ戻った九太は、高校生の楓から新しい世界や価値観を吸収し、生きるべき世界を模索するように。そんな中、両世界を巻き込む事件が起こり……。

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今日レビューする映画は細田守監督作品『バケモノの子』です。

 

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本作品は2015年に制作された映画です。監督は細田守

細田守といえばもう日本を代表するアニメ監督ですよね。

 

 

は、日本を牽引するアニメ映画監督だと思っています。どーやったらここまでの作品を作れるんだろうと途方に暮れるほど感動する作品を作ってくれる方々ですよね。

 

とはいえ、僕はポピュラーなアニメ映画にはどぉにも惹かれなくてですね…細田守監督作品もそこまで見ていないし何ならジブリだって見た作品少ないんですよね。それも本当に見たのか怪しいライン。

じゃあどんな作品を見ているのかというと『パプリカ』とか『屍者の帝国』、『ハーモニー』などの伊藤計劃作品を見ていますね。伊藤計劃さんは亡くなったのですが映像作品三作品はどれもメッセージ性があるのでよかったら是非!

 

でも細田守作品で唯一見た作品があって。それがこちら。

 

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2009年公開の映画、サマーウォーズです。

仮想世界の危機を家族みんなで解決しようと奔走する話なのですがこれが否が応でも見てしまう。

嫌というほどやっているんだもん!金曜ロードショーで!細田守日本テレビはお友達だから仕方ないけど節操ない!

金曜ロードショーの作品年々固定化しているから疎らにやってほしいという願いはともかく、そんな高頻度でやっている映画なので見ざるを得ない。

 

『バケモノの子』や『おおかみこどもの雨と雪』も高頻度で流してくれるのですがいっつも見逃してしまうんですよね。

ですが今回ちゃんと録画しました!それも本編ノーカット!

幻のポケモンを手に入れた気分です。

 

長々と僕の細田守遍歴を語ってしまったのでレビューに移りたいと思います!

 

レビュー

ストーリー:◎

ええ、泣かされたので何も言えません。純粋に感動しました。

僕はこの映画、細田守のやりたい要素てんこもりの作品だと思っていて。大きく分けて3つの要素が内包されているとおもっています。

 

①親子(師弟)要素

この話の軸となる要素ですね。

家出少年の主人公、キュウがバケモノの熊徹(くまてつ)に弟子入りするところから話が始まっていくんですが二人が不器用なんですよね。すぐいがみ合ったりする仲なのですが不器用なりにも親が親としての務めを果たそうとしたり、子が子として親を信じてあげたりしているんですよね。そこの伝え方に上手さを感じました。

 

伏線を交えて伝えるんですよ。

 

前半に行った言動をキーにして後半でそれを使って物語を紡いでいっているんですよね。こういうのを人は伏線と呼ぶと思うのですが、セリフ一本で泣かせに行くんじゃなくて物語全体を通して泣かせにいっているスタンスに非常に好感を持てました。

 

まあでも、僕が良いなと思ったのは師弟要素で。

 

熊徹の弟子になったキュウは熊徹の動きを真似して立ち回りを習得していくんですよ。そしてそれが熊徹を超える。

それを知った熊徹はキュウに教えを乞うんですよ、師匠なのに。キュウは立ち回り以外の様々な技を習得したかったので熊徹に立ち回りを教えることを引き換えに熊徹にそのほかの技を教えてもらうことになる…という展開があるんですよ。

 

師匠→弟子という関係がこの作品では師匠⇄弟子という関係になっている。

 

これこそが師弟の在るべき姿だと思っていて。

本居宣長の書いた古典作品に『玉勝間』というのがあるのですが、この作品に師弟の在るべき姿が書かれた一節があります。

 

おのれ古典を説くに、師の説とたがへること多く、師の説のわろきことあるをば、わきまえ言ふことも多かるを、いとあるまじきことと思ふ人多かんめれど、これすなはちわが師の心にて、常に教えられしは、「のちによき考えの出で来たらんには、必ずしも師の説にたがふとて、なはばかりそ。」となん、教へられし。これはいと貴き教へにて、我が師の、よにすぐれ給へる一つなり。
おほかた、いにしへを考ふること、さらに一人二人の力もて、ことごとく明らめ尽くすべくもあらず。また、よき人の説ならむからに、多くの中には、誤りなどなからむ。必ずわろきこともまじらではえあらず。

【古典作品】『玉勝間』|「3分でわかる!」シリーズvol.16 | 武田塾御茶ノ水本校 (takeda-ochanomizu.com)

 

要約すると「師の間違いに気づいたら遠慮なく指摘して!」という内容なのですが師が一方的に教えるのではなく、ときには弟子から師匠が教わるという点で本作品とにているんですよね。

これはたまたま古典の授業で習ったのですがこのスタンスを本作品では如実に描写していたのでここで僕は泣かされましたね。

 

②アクション要素

 

今回は『サマーウォーズ』とは違い、アクションに様々な概念を取り入れてきましたね。

サマーウォーズ』は格闘一本でアクションを見せていたのに対し、今回は剣戟、体当たり、念動力の3つを加えてアクションしている。ちょっとしたマトリックスですよこれ。

 

でもこれがすべて素晴らしい。

 

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動きが現実味を帯びているんですよね。一手一手ちゃんとモデルを見ながら描いたんだなと制作陣の熱量が覗えるくらい事細かに作られている。拳の使い方、そして避け方。それらが綿密に表現されていたのがとてもよかったです。

そして体当たりね。これは相撲なのですがバケモノはフォルムを変えるんですよね。

普段こんな感じの熊徹が、

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こんな感じになるんですよ。

 

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これになる際の毛のたなびき方がコマ送りだからこそ為せる業だなと思いましたね。相撲も周囲の影響を衝突と交互に映すことで迫力が出ていてとてもよかったです。

 

③友達要素

 

後半、少年から青年になったキュウはひょんなことから身を置いていたバケモノ界から人間界に戻ってしまいます。そこで女子高生の楓と出会ったことでキュウは勉強を行っていきます。

終盤になって人間界にも危機が及ぶと楓は途方に暮れているキュウの手を引くのですが、結局最後は関係性が進歩せずに終わるんですよ。

 

なんかな…

 

あそこまでキュウに感情見せといて最後は高卒認定試験受けない?って言ってお役目御免はな…はっきり言って消化不良です。

キュウや楓、どちらでもいいから関係性を進歩してほしかったです。それが唯一の心残りです。

 

総評

かなり面白かったです。よく追いかけっこしていたり、顔を真っ赤にする等、ネタはちょっと古いのですが親子として、師弟としての在り方をしっかりと描いている映画なので気になった方は是非、見てみるとよいかもしれませんね!

 

 

 

 


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