TSUTAYAで『デアデビル』のシーズン1を借りて一挙見した。
あらすじ
舞台はアメリカ・ニューヨークのスラム街“ヘルズ・キッチン”。法では裁ききれない悪がはびこるこの街は、犯罪の温床となり腐敗しきっていた。 盲目の弁護士マット・マードック(チャーリー・コックス)は、法の裁きを逃れた大悪を罰さんと、コスチュームを身にまとい“デアデビル”となって毎夜街の犯罪者たちを挫いていく。 善と悪の境界とは何か。正義の意味を徹底的に見つめたダークヒーローの物語。
レビュー
素晴らしすぎた。何ならMCUで一番好きなんじゃないかと思うほど面白かった。
本作品のヒーローのデアデビルは他のMCU作品とは違い、裏社会の人間を相手にするダークヒーロー。こういうのをストリート系ヒーローというらしい。
盲目ではあるものの、聴覚や嗅覚などの知覚が優れている彼はその能力を生かし遠くから聞こえる助けを呼ぶ声に応じ成敗していく。
この感覚が鋭すぎるのがもう面白い。どうやら嗅覚で相手の匂いを嗅いで、そこから予測を立てるらしいのだがプライバシーのクソもない。
相手の匂い嗅いで「昨日は玉ねぎを食べたね」とか。なんでわかるん?とツッコみたくなるくらい優れているから最早ここは笑える。マードックさんには是非、さっき食べたものを当ててもらいたいですわ。ん?焦がしにんにく…?マー油?米?さてはチャーハンを食べたのか?とか言われたいな。当てられた途端椅子から転げ落ちて笑うと思うが。
ちなみにマードックの師匠、スティックは空気を掴んで「絨毯シルクか」とかいうのでホント面白い。
そんなマードックがデアデビルとして数々の敵と闘うのだがこれがちゃんと闘えている。本当は見えているんだろ?とか思うくらいバトルとして成立している。本作品のデアデビルは目元がマスクで覆われているのだがあれでよく撮影できたなとしみじみ思う。
話の流れとしては前半部分は表の顔である弁護士の仕事をしながらその後始末をデアデビルとして処理していくという流れ。一方で後半部分になると自分が倒すべき諸悪の根源が姿を現し、全面戦争していく流れ。
表の顔、裏の顔があることをシークレットアイデンティティと呼ぶようだけど付き合い方としては最高だった。
シークレットアイデンティティを貫いていると物語に深みがなくなる。諸悪の根源を相手に普段と同じスタンスでいられたら敵の魅力がなく話自体が陳腐になるからだ。
巨大な敵を前にヒーローは何かを捨てなければならない。大事な人とかね。デアデビルのなかだと弁護士としての仕事だと思う。
後半部分になると公私混同してきて挙句の果てに傷の療養の為に事務所にいけなくなり弁護士の親友、フォギーにデアデビルであることがバレるという始末。
この流れが最高だった。心身共に追い詰められるマードックがなかなかに敵の巨大さを描けていて良かった。
そして敵ね。ウィルソン・フィスクさん。口に出すのもはばかられる犯罪王で気にいらない部下は車のドアで挟んでぼっこぼこにするやべえ奴。
一見こういう狂気的で残忍な敵はありがちなのだがこいつの違うところは「人間味があるところ」。
心が意外に弱いのだ。自分のとっているスタンスに思い悩んで恋人に相談したり、大事な部下の死を嘆いたり一概にも非情な敵とは言いにくいところが魅力的。
どこか感情が入ってしまう可哀想な人間。だが一度拳を奮えば見る者がドン引きするぐらい圧倒的なのだ。
ウィルソン・フィスクはキングピンともよばれているが彼はスパイダーマンの敵にもなっているらしい。
スパイダーマンなんてもろに超常的な敵じゃないと成立しなさそうな作品に生身の肉体だけの敵で君臨しているのがカッコいい。
儚さや敵としてのステータスの高さから、僕はMCU作品内の敵の中で最も好きな敵に彼を推そう。
父親に見続けろといわれた白い壁。孤独を味わっていた彼の終着点が独房の白い壁っていうのも素敵。彼の過去を知っているからこそ心にクるものがある演出だったと思う。
ただね。本作品の敵組織にヤックウザが出てくるのだが、その組長の日本語がもう同じ日本人とは思えない。
まあここは仕方ないな。海外作品だもん。無名の日本人俳優やら女優やら日本から引っ張ってくればいいのに。視聴者層に我々は入ってる?と思ってしまうくらい雑な日本設定。ブシ!ニンジャ!みたいなね。輪郭すら捉えられない設定は今に始まったことではないができれば直してほしい。
ただ今回、その組長のノブとデアデビルのバトルはよかった。
忍者のような装束に鎖鎌という、『戦闘中』でプレイヤーが従えられるシノビにありがちなフォルムをしているがそのビジュアルが外国でやっているというのもあってかなかなか美的に見えて良かった。
まああとはヒロインのカレン襲われすぎ問題とか神父のシーンが尺取りすぎとかが気になったが総じて良かった。
総評
とても面白かった。先に言っておくが皆が思っているデアデビルのあのフォルムは終盤になってようやく姿を現す。
でも自身との対峙や人間性のぶつかり合いがよく描かれている作品だと思った。
またMCUのヒーローみたいな組織や団体がバックにいて治療やサポートをしてくれるよりかは、孤独な主人公が治療役やスーツ作る役を見つけていく展開は他のヒーローものにない面白さがあってとても楽しかった。
どうやらフィスクはシーズン3で戻ってくるらしい。
彼の帰還を待ち望みながらシーズン2を見ていこうと思う。
ちなみにマードック君、僕この冷凍チャーハン食べてたんだけど分かったかな?