【映画】ドラキュラZERO

DVDでドラキュラZEROを借りてみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

時は1462年、トランシルヴァニア地方を治めていたのはワラキア公国君主のヴラド3世。戦いに疲弊した彼の公正、公平な統治のおかげで長きにわたり平和な時代が続いていた。しかしオスマン帝国の皇帝メフメト2世が、自軍の兵士に育てるためヴラドの息子を含む1000人の少年を差し出すよう要求。ヴラドは家族と民を救うためにファウスト的取引を結び、100人分の強さと星のごとき速さ、そして敵を粉砕する力を手に入れる。しかし、その代償に人間の血への飽くなき渇望に苦しむことになった彼は、暗黒の人生を歩み愛するものすべてを失ってしまう。

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

面白かった。『モービウス』よりも複雑性はあったがやるせなさが残る話であった。

 

主演のルーク・エヴァンスってワイスピのユーロミッションあたりででてきたステイサムの弟か。あのときは雑魚でアイスブレイクでこき使われている可哀想なやつだと思っていたが作品が違うだけでここまでカッコいいとは思わなかった。

そんな本作品は一言で言うと、「君主が領地を守るために自分の領内にいる魔物から力を貰って敵軍を圧倒する話」。

主人公のヴラドはもうこの時点から串刺し公という異名がついている。

だがそんな彼は心優しい君主であり、大国オスマン帝国から「1000人の奴隷よこせ」と要求されても断る男。

「えー」とは言いながらもここはオスマン帝国の規模におののいて1000人渡しちゃうところだがこの男は違う。まさに主人公。

オスマン帝国はヴラドの息子も貰うと言うのだがこれも拒み帝国兵を殺したことで戦争勃発。だが帝国相手に立ち向かう国力がない。そこでヴラドは帝国の斥候を惨殺した領内の魔物から力を借りようとする。

まぁ魔物と対話する訳なのだがここの会話がかなり意味ない。串刺ししたときどう感じた…?とかそんな話。

ヴラドの凶暴性を引き立ててどうするんだろうと思った。

「希望に満ちた瞳をしている…」みたいな感じで普通に気に入ればいいのになんでこういう意味もなく回りくどいことするのかな。

純粋に魔物はヴラドの英雄性(凄み)とかを感じて「我の力を授けよう…」みたいな感じで渡せばいいんじゃないの?とは思った。

「三日間吸血欲求に耐えないと我の封印が解かれて暴れちゃうぞ?」みたいなことを言われたヴラドは必死に吸血衝動を抑える。

だがそれと引き換えに得た能力は凄まじく、帝国軍を圧倒する。

しかし魔物だと感じた民衆は彼を燃やそうとする。

折角お前らの為に頑張ったのにこれが感謝の気持ちか?と怒るヴラド。

奥さんのミレナが出て来て「普段の貴方じゃない!」となだめるのだがこれは仕方ないよなー

あの状況下でヴラドみたいにならない人いないでしょ。

ここは奥さんハグしたりで寄り添う形でなだめてほしかったな。

皇帝メフメトが10万の軍勢を引き連れ、ヴラドたちのいる修道院を攻めこむ。

そこでまたドラキュラパワー全開にするのだが別動隊が修道院に侵入したことで奥さんが転落死する。そして彼女の血を吸うことで魔物との三日間の約束を破る。

だが自身の血を分け与え、民衆をドラキュラ化させる。

ドラキュラ軍の力は凄まじく、帝国軍をもたもや圧倒。弱点の純銀に包まれながら皇帝と闘い、なんとかヴラドは皇帝を撃破し、連行された息子を取り返す。

だが吸血衝動にかられた民衆たちは息子を狙う。息子を手放し、日の光に照らすことでヴラドは集団自決する。

息子は皇帝となり、ヴラドは信奉者に甦らせられ、現代で奥さんと再会し、魔物が「ゲーム開始だ」という感じで本作品は終わる。

 

こういわれると「モービウスと同じじゃん!」と思うかもしれないが、終盤の複雑性が際立っているところがモービウスと異なっている。

民衆と家族を守ろうとする領主が民衆を殺しているんだよね。ここがなんとも切ない話であった。でも魔物の力を使わなければ民衆は根絶やしにされていたし、集団自決しなければどんどん人間が殺される。

賢明な判断だとしてもとても喜べるものではない。民衆と家族を守ろうとする強い信念の持ち主が民衆を殺すんだもん。

『モービウス』だって親友を殺すことになるんだけど…切なさでいったらこちらの方が上なんだよね。というか純粋に可哀想。

だって帝国への復讐心を煽ってドラキュラ化させて殺すんだから。

でもこうでもしなきゃ…という二律背反の気持ちが混ざってここは結構切なかった。

「息子を政略の道具にしない!」というミレナの想いをしっかりと守り、自決のなかで「守ったよ!ミレナ!」というシーンとかね。

でも民衆は!とツッコミたくなった。

 

あとは力を授けた魔物ね。

自分を封印したやつらに復讐するんだといっているんだけど現代にはもういないだろ!という。

まぁ復讐対象が人類ならば筋が通るけどね。お前この時代に来ても価値ないぞ?とラストは思ったね。

まぁでも「行いは前世から生ずる」を生まれ変わった妻に問いかけているところが凄く素敵だったね。

こういう終わり、割と好き。

 

能力に関してはほぼモービウスと同じ。レーダーセンスだっけ。あそこまで同じだとは思いもしなかった。

もしやモービウス、ドラキュラZEROからインスピレーション受けた?と思ったがあれはあれで原作あるもんね。

アクションに関しても十分に楽しませてもらったしなにせルーク・エヴァンスの顔面がいいね。イケメンフェイスすぎてビックリした。

 

総評

君主として、父親として悪の力を行使していく姿がかっこよくてなかなか面白かった。モービウスと似通った話だがちゃんと違うところもあり見応えがあった。

やっぱり「大いなる力には大いなる責任が伴う」。ワンダーウーマンにしろどのヒーローにしてもこのテーマが付きまとうんやね。

唯一この題材から逃れられている作品なんだろうね。『デッドプール』とかかなー。

結構自分のために動いているところあるからね。

ZEROとはいえ、前日譚とかではないし続編は作らないらしい。

ま、これ以上作るとモービウスだな、完全に。

まぁでも現代に生きるヴラドが勧善懲悪ヒーローになってくれることを祈り、この辺にしておこう。