映画館で『HiGH&LOW THE WORST X』を見たからそのレビューをしていこうと思う。
あらすじ
SWORDの「O」鬼邪高校。
定時と全日に分かれるSWORD地区最凶の不良高校である。
その全日制で頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)は、
数々の伝説を持つ最強の男・ラオウをたずねて、戸亜留とある市にある鈴蘭男子高校を訪れていた。
その頃、鬼邪高の首を狙うSWORD内の不良達は、
虎視眈々とその機会を伺っていた…。
中でも、エンジ色の学ラン、通称“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平(三山凌輝)は、須嵜亮(中本悠太)という最強の男の力を手に入れ、
さらには、同じく鬼邪高の首を狙う鎌坂かまさか高校と江罵羅えばら商業高校を傘下に加え、
「三校連合」を築き、その勢力を拡大していく。
鬼邪高の高城司(吉野北人)と轟洋介(前田公輝)は、そんな三校連合の怪しい動きをいち早く察知するも…その時は突然、訪れる。
遂に、三校連合による鬼邪高狩りが始まったのだ。
不意をつかれ、急襲されてしまう形となった鬼邪高の男達。
圧倒的不利な状況下で、これまで己の拳一つで答えを導いて来た楓士雄は、
次々に潰されていく仲間達を守り抜く事は出来るのか!?
そして、三校連合最強の刺客、須嵜との頂上決戦に挑む楓士雄!
楓士雄の拳はいったい何を語るのか?
本物のテッペンを決める戦いが今、始まる。
(公式ホームページより抜粋)
レビュー
面白かった。今年見た映画のなかで1番面白いなと思わせるくらい濃密な121分であった。
ちなみに僕はハイローのファンである。
その圧倒的なスピードで展開されるアクション、アツイ展開…作品を彩る楽曲、キャラクター同士の関係性や組織構成が好きで本作品の各組織のPVを公開直前まで毎日何度も見返していた。
でも本作品は公開直前までかなり心配ではあった。
鈴蘭のメンツのビジュアルのしょぼさね。
まぁ我らが鬼邪高も高城司(吉野北人)を始めだいぶイケメン寄りなメンツしているんだけど鈴蘭はさ、もう不良高校の名門中の名門じゃん?
だからもうちょい段違いなビジュアルしてほしかったところではある。マーシーとラオウは「THE・鈴蘭」って感じなんだけど他は何か狂った雰囲気とか強い雰囲気出したところでやっぱり脳裏にLDHの三文字が過ぎっちゃう。
挙句の果てに黒マスクしてるからね。戸亜留市にいるんじゃなくて歌舞伎町にいけよって思っちゃう。
あまりにもビジュアリティの高いメンツに拍子抜けしたのが見る前の懸念点ではあった。
まぁあと主題歌がゆったりしていてあんまりノれなそうだなーとか思ってた。
前作のSWAG&PRIDEはかなりアツいメロディーで主題歌としては申し分ないクオリティだったが今回は打って変わってラップに重きをおいた曲に仕上がっている。
そこもかなり心配なところではあった。
だけど見終えた今思うとそんなこと些事だったなって思うんだよね。
ストーリーとファンサービスが凄まじくよかった。
本作は前半と後半で結構話違うなと感じた。
前半は「楓士雄、ラオウを知る」といった感じのストーリーであった。
鈴蘭に赴いたものの、ラオウとタイマン張れなかった楓士雄は色んな人からラオウの伝説を聞き、その人柄に触れていくといった話。
マジであらすじの成分は少量だった。「瀬ノ門が鬼邪高の周りうろついてんゾ〜」的な進み具合であった。
後半で一気に鬼邪高狩り、そこからの鬼邪高の反撃が始まるわけなのだが前半の意外性が個人的にはたまらなかった。
そして前作は鬼邪高主題の初映画というのもあって「社会というレールから大きく踏み外れた人間でも真っ直ぐに、夢を追って生きている」といった不良賛歌の映画であった。
対して本作品は「不良が目指す"テッペン"ってのは何なのか」や「仲間って何なのか」に重きを置いた前作よりも深みある作品に仕上がっていた。
そういった点でもかなり本作は前作を超える面白さを持っていたと言える。
正直、須嵜と天下井の関係性は予測ついていた。
昔は仲良かったんだけど…的なね。ここまで当たっていたのはビックリしたけどちょっと予想が外れた部分もあった。
それが終盤の鬼邪高&鳳仙&鈴蘭の真三高連合vs天下井&須嵜というシーン。
このときてっきり須嵜が天下井を殴って「あのとき助けてくれたのになんで変わっちまったんだよ!メェ覚ませよ!」的な琥珀vsコブラ&ヤマト&九十九の構図を期待してたんだけど、須嵜がたった一人になった天下井のために死力を尽くして楓士雄に立ち向かうんだよね。
まだまだ展開先読み能力が欠けてるなと実感したがここは本当に感動した。
前作よりも泣かせにくるアツい展開とそれらが伝えるメッセージがかなりよくてずっと鳥肌ものだった。
あとファンサービス。
小田島有剣の出番の多さね。
前作アホほどなかったもんな…制作陣もそれを自覚していたのだろう。彼を頭不在の鳳仙のリーダー的な存在にして話を進めさせていたのはかなりよかった。
そして轟ね。
轟に至っては前作アクションしかしてなかったからな。出るシーン全部腕と足使いまくってる、見かけに反して物騒な男というイメージしかなかったが本作はそれに肉付けがなされている。
小田島と釣り友達だと話すときの轟見たか?そりゃもうぎこちなかっただろ!
そんでもってアクション中に見せる二人の関係性よ。
インテリヤンキー二人が互いを支え合いながら須嵜に挑む姿は見る側から言わせてもらうと「わかってんじゃん」の一言。
これまでクローズアップされることのなかった二人が垣間見れてとても充実した映画であった。
というか、本作品はかなり鳳仙自体も深堀りされている気がする。
麻雀楽しんでいる四天王とか組み手してる小田島とか、鳳仙が普段何してるのかがよく描写されていてかなりビックリした。
前作は敵だったこともあったしそんなことしてる暇ないくらい厄介事に巻き込まれていたというのもあってあまり描写されていなかったからかなりファンとしては幸せものだった。
おまけの鈴蘭リスペクト。
鈴蘭高校の地位でいったら今回の出てきた高校のなかで1番高いところにいる。
あのクローズの主役がいる高校なんだからね?
それを制作陣はしっかりとわかってるのよ。
特に序盤の楓士雄が鈴蘭に単独潜入するシーン。
ラオウ一派が「ラオウは人気者で順番待ち状態なんよ。闘うには整理券が必要だよ」といってハイキックを楓士雄にくらわすシーンがあった。
それをラスト、須嵜に楓士雄はかます。
ここの対比がね!いいのよ…
多くは出演できないが、それでも「不良高校の手本」として作品に爪痕を残させるあたり制作陣の鈴蘭に対するリスペクトを感じた。
だが僕も一人のファンとはいえ、レビュアーでもある。
この作品にも当然悪いところはある。
三高連合の江波羅商業高校の扱いが雑すぎるってとこかな。
三大神のアクションシーンが冒頭の一つしかないってのが非常に残念であった。
風神と雷神は轟に強い復讐心を抱いているのだがその理由とかもわからないまま勝手に現れて轟に勝手にやられた。
その轟との悲願のリベンジすら描写されない始末。
理由に関しては不良狩りの犠牲になったというのがパンフレットに書かれていてそこでようやく初めて知った。
でもそれはあかんでしょ。
あんな出演者・製作者インタビューがメインのパンフレットで補完させるのはあまりにも無理がある。
「轟だけには手を出すなよ?」「あいつらは俺らが倒すんだから」と散々イキってたのにその理由も復讐シーンすらも描写されないのはかなり切なかった。
あとは佐智雄の不在の理由。
何かしょぼくない?とは思った。
まぁあの責任感兼ね備えているキャラを前線から退けさせるために「母の病気のために海外へ」はかなりうってつけなのだが、うーん…
説明しにくいのだが「らしくない」。
ならもう卒業とかでもよかった気がするんだよな。
卒業しても「あいつら放っておけねぇな…」みたいな感じで喧嘩合戦に参戦してもロジックは通ると思う。
用事が妙にらしくなくてそこはかなり消化不良ではあった。
総評
それでもしっかりと面白かった。見る前の懸念点も気にはならなかったからそういった点でも期待値以上の出来だったなと思う。
間違いなく今年見た映画のなかで抜群によかった。
僕はEXILEイケメンコレクターではない純粋なハイローファンなんだけどやっぱり劇場内の女性人口が多かったなとも思った。
でもそんな純粋なハイローファンの映画好きからしてみても本作品は高評価に値する作品であったからこの作品はかなり売れる気がする。
売れてなくても売れさせます。
クリアファイルガチャが高城司だったから引き直しも兼ねてもう一度映画館に行かなきゃいけないんだよね。
というわけで、一度見た諸君らも
映画館に…
行くぞてめぇらぁああああ!(言いたかっただけ)