【映画】ブルーサーマル

U-NEXTで映画『ブルーサーマル』を観たからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

普通の大学生活に憧れて長崎より上京した都留たまき。入学早々ある事故でグライダーを傷つけてしまい、弁償のために体育会航空部の雑用係をする羽目に。しかし、主将・倉持のグライダーで空を飛んだことをきっかけに、たまきは青空の世界に夢中になっていく。

(U-NEXTより抜粋)

 

レビュー

面白くなかった。全体的にあっさりしすぎていて、前のめりになって見れない映画であった。

 

本作品はグライダーを使った競技に没頭する大学生を描いたアニメ映画である。

そのグライダーっていうのも最初「鳥人間コンテスト?」と思いながら見てたのだがそうではないらしい。

鳥人間コンテストみたいに手動で飛ばすんじゃなくてレバーで飛ばす、もうガッチガチに出来上がったグライダーで競技する。

でもグライダーの性能ではなく、操縦者の技量によって大きくスピードとかが変わるためそこがスポーツ要素の肝となっている。

でも見終えた今思うと鳥人間コンテストに青春捧げるお話の方が遥かに面白かったかもしれない。

 

このスポーツ要素があまりにもあっさりしているのだ。

上昇気流で後ろの座席に座る審査官から「これ以上は危険です!」といわれたときに「もうちょっと傾けさせてください!お願いします!」と主人公が打診した直後に何とかなったりとか。

グライダーの技術的なところはあんまり理解してなかったけどあまりにも台詞の直後すぎて困惑した。

その点鳥人間コンテストならやり方によってはこってこてのスポ根要素を引き出せると思うんだよな。

グライダーを作って主人公が中に入って飛んでいるときに落ちそうになるけど踏ん張る…みたいなくだりだけでだいぶ画になる。

やっぱり競技シーンにはアクシデントがつきものなんだけど、それを振り切る力強さみたいなのがあまりにもなくて面白味がなかった。

 

でもこれがスポーツ要素だけじゃない。

話全体でとってみてもあっさりしている。

 

例えば航空部に入って早速行われた合宿で紆余曲折あったけど航空部で頑張ってみたいとたまきが倉持に話すシーンがあるのだが、ちょうど話し終わったあたりで駐車場の縁石みたいなところにたまきが座り込む。

あっ、もっと話すんだな。話すとしたらなんだ?たまきが倉持に何故グライダーをやり始めたかとかきくのかな

とまず思う。

だがそのまま次のカットに切り替わったのだ。

「いや…ないんかい!」とツッコミたくなるくらいあと一歩のところを踏み込んでなくてあっさりしているのが気になった。

 

特に終盤。

たまきの部活の先輩である空知が退部届を出したりとか倉持がドイツでグライダーやるため大学やめたりとか色々とアクシデントが起こるのだがそのなかで部活の同期に「あんたはどっちが好きなの?!空知なの?倉持なの?」みたいなことをたまきはきかれる。

後半になってから空知とたまきの距離感が縮まっているから恋愛的な要素は絡んでくるだろうなと思った。

で、話が進むにつれて退部した空知よりも安否不明になった倉持の方がことの重大さが重くなっていく。

倉持のことを尊敬していたたまきは関東大会を優勝しすぐさまドイツに行って倉持が消息を絶った場所でグライダーを飛ばす。

ここでタイトル伏線の、幸せをつかむ風「ブルーサーマル」をつかんで倉持をつなぎとめるって話になる。

「もう勝手にいなくならないでください!」みたいな告白じみたことを言うたまきだったが結局恋愛面は解決しないまま「倉持みつけられたねーよかったねー」オーラ全開でエンドロールに移る。

 

いや本作品最大のツッコミどころは実はここで。

いや恋愛面はぁ!

 

と、粗品みたいな形相で流れ行くエンドロールにツッコミいれたわ。

観る側のニーズをまるでわかってない。というのはあるのだが、それ以前に自分たちで撒いたタネは自分たちで後始末しろってことなんだよね。

「あんた倉持と空知、どっちなの?!」という一言があったからこちらはてっきり恋愛方向に移るんだなと思ったのだ。

だが結局音沙汰なし。

ハイロー風に言うと「自分でケツ拭けや」っていう話よ。

ここは本当に消化不良だった。

 

あと空知に限っては退部したくせにちゃっかり関東大会にいるからね。

もともと退部届だしていたが「合宿終わったらでいい?」と倉持にいわれていたのだがその合宿終わっても終盤の関東大会に何食わぬ顔で参加しているのが最高にハテナだった。

3年生になったらパイロットの実地訓練があるから合宿いけない…みたいなのが理由らしいからもしかしたら2年生であるうちは部員なのかなと思ったのだが後輩たちに退部を明かしたときの重々しさはもうこれから辞める人のそれだった。

だからそこが凄くよくわからなかった。

 

総評

面白くなかった。これに尽きる。なかなかここまで面白くないアニメ映画ってないんじゃないかなとすら思う。

「こいつ、風が視える…!」みたいな天才肌をうかがわせるシーンがあったのは個人的によかった。

でも全体的に感じた消化不良感が拭えずこのようなレビューとなった。

これは最早作品としてどうなのよレベル。

そしてこの映画、主役の声を女優が演じているのだが演技ガーと言う以前にこのザマである。

ちなみに演技は微妙だった。まぁ仕方ないよねとここは目を瞑ったしそれに演者が女優であっても面白いアニメ映画はあるからね。

 

ここまで消化不良になることはなかったから絶対明日のお通じ悪いですな。腹痛薬を先に飲んどこ。