「結果を大切にする恋愛ドラマ」が見たいという話。

恋愛ドラマって何に重きを置いているのかなってたまに考えるときがある。

 

多分この問いをかけられたとき大多数の人はこう言うと思う。

 

「過程」だと。

 

イケメンが、こういう仕草をする。こういう台詞を言う。そこに重点を置いて見てると容易に想像できる。

分かりやすい例だと最近の「真夏のシンデレラ」。サーフボードのインストラクターである森七菜が、バカンスで訪れていた東大卒でボンボンの間宮祥太朗と恋をするお話なのだが、このドラマには当て馬が存在する。

それが神尾楓珠ね。森七菜の幼なじみで森七菜が密かに想いを寄せていた人物でもある。

最初は森七菜そっちのけで高校のときの先生だった桜井ユキに想いを寄せてたけど徐々に森七菜を狙い始める。

森七菜に想いを寄せる男は間宮祥太朗神尾楓珠の2人。さぁどうする!

答えは一目瞭然、間宮祥太朗である。


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理由は展開、描写の全てが物語っているんだよね。

 

どれだけ恋敵を用意してもそれは結局当て馬なんですよ。

今やってる「マイセカンドアオハル」だってそう。

確実に広瀬アリスは道枝君と大学卒業して建築事務所立てるオチまで行くでしょ。

でもちゃんと安藤政信という恋敵がいる。

ああ間違えた。

「当て馬」ね。

 

最近のドラマは当て馬と恋敵が=で結ばれてるんだよね。

 

恋敵ってライバルだと思っててさ、恋敵と名乗るなら最後まで存在感を出してほしいんよね。最初から最後まで「え、どっちが恋敵かわからない!」と視聴者に言わせ、最後には「えー!そっち行くんだー!私はこっちがいい!」と言わせ。そして論争が起き、宗教戦争にまでなって踏み絵くらいの慣習が起きるくらいのインパクトがあってもいいと思うんです。

 

良い例をあげると2014年放送の「ラストシンデレラ」。

1話目の三浦春馬の「忘れ物ですよ」に恋してソファに身を隠して照れながら見てた僕のバイブル。

口調や振る舞いが昭和な「おっさん女子」の篠原涼子が参加したパーティーで17歳も歳下のフリーター三浦春馬と出会うお話ね。

この言い方だと「三浦春馬でしょ!」と思うかもだがこのドラマ、恋敵が恋敵していたのだ。

このドラマにおける恋敵は藤木直人


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篠原涼子と同じ職場で篠原涼子とはよくいがみ合う仲。でもホントは誰よりも篠原涼子を想っているツンデレキャラ。

藤木直人三浦春馬に勝てないよーと思うかもしれない。確かに俳優の魅力が若さだとしたら確実に藤木直人は負ける。

だがこのドラマは直前までどうなるかわからなかった。

展開で行ったら三浦春馬は命令で篠原涼子に近付いただけだったんだが回を重ねていくうちに篠原涼子に恋をしていく。

だが並列して藤木直人篠原涼子にツンツンを重ねていったが、回を重ねて近づいたことが明るみになったことで藤木直人篠原涼子を支える。

この2人が後半あまりにも拮抗しているように感じられたのだ。

 

「遊びで近付いたけど、でも私の好きな人は春馬だよねルート」

「ずっと私にあたり強かったけど、そういえば直人は誰よりも私のこと見ていたよねルート」

 

僕はそのどちらを選んでもにんまり微笑むくらい、あまりにも2人のインパクトが強かったのだ。

 

あとopや売り方もよかった。

ラストシンデレラのopは、赤いベールを包んだ篠原涼子が教会の扉を開けて手を差し伸べる三浦春馬藤木直人を見て微笑むという感じなのだが、従来の恋愛ドラマのopとは違ってヒロイン→メイン俳優→当て馬俳優と順位式になってないんだよね。

「17歳歳下フリーターと同い年ツンデレ美容師どっち選ぶ!」

を売りにしてるから藤木直人に当て馬感は感じなかった。

 

それ言ったら真夏のシンデレラの吉川愛のとこも男子学生2人どっち選ぶかでハラハラドキドキさせる要素はあったんだけどね。まぁでも出だしが極端に遅かった萩原利久に軍配が上がるのが分かっちゃったかな〜って感じがする。少し感じが悪いやつが後半にさしかかってもとから優しく接してたやつを出し抜くという恋愛ドラマ特有の恋の無慈悲さ。男性としてマジで恋愛ドラマの世界に行きたくないなとこればっかりは思ったよね。

 

じゃあどうやったら恋敵がどっちなのかわからないくらい熱狂する恋愛ドラマが作れるのかってなるとこれまた難しい。

恋愛ドラマにしては前代未聞の、「私が選んだのは──」みたいな告白の台詞の途中でドラマを終わらせるというのがいちばんイージーなんだが、絶対バッシングを食らう。

ただ、宣伝やキャストの出す順番とかで自ずと恋愛ドラマって結果を想像できてしまうという観点だとどうなのだろうか。

毎週毎週キャストの順番を入れ替えるとか。番宣で出演するときもヒロインと男2人をどっちかもしくはどっちも出演させるとか。展開によってopの男2人のカットを偏らせるとかやり方はいくらでもある気がする。

 

恋愛ドラマは確かに過程が大事だ。台詞もそうだし仕草にインパクトがないと成立しないドラマだからだ。でもそこに注視しすぎて恋敵役がしょぼくなってしまっている。

ラストシンデレラ以来の衝撃が欲しい。篠原涼子藤木直人の誘いを断った瞬間に「勝負決まったー!」ってなるくらいのハラハラ感が欲しい。

時代遅れなのかもしれない。ただそんな王道ドラマはもっとあっても良いんじゃないだろうか。

 

男2人に派閥が起き、過激な論争の末、刑事事件まで発展しちゃうくらい大旋風を引き起こすドラマを期待してます。