Amazonプライムビデオで『アウェアネス/超能力覚醒』を観たからそのレビューをしようと思う。
あらすじ
イアンは世を忍んで父と暮らすティーンエイジャー。彼は人に「幻影を見せられる」という特殊能力を持っており、親子はそれを使いケチな盗みを働いて日々をしのいでいた。ある日、うっかりその能力を人目にさらしてしまったイアンは、謎の秘密機関から追われる身となる。必死で逃れながら、イアンはその能力を持つのが自分だけでないこと、またこれまでの人生がウソにまみれていたことを知るのだった。
(Amazonプライムビデオより引用)
レビュー
微妙。疑心暗鬼にさせる展開やヒロインの可愛さが感じられた一方で、情報量が多く、全体的に盛り上がりがない作品であった。
悪いところから見てみよう。
1つめの「情報量が多いところ」。
このレビュー見て見るかどうか決める人、見終わってレビュー見てる人も用語を確認してみよう。
〈パーシーヴァー〉
本作品でいう超能力者。「ヴァー」なのか「バー」なのかわからないけど雰囲気的にヴァーな気がする。人間の知覚を操ることができ、記憶を辿ることや幻覚を見せることができる。
〈アウェアネス〉
パーシーヴァーで構成された組織。世界を裏から操る集団。悪者だね。
〈エージェンシー〉
アウェアネスに対抗する組織。こっちが正義の味方みたいな扱いされてる。
〈醒剤〉
漢字がわからん。意味合い的に多分これ?パーシーヴァーの力の源?これを投与することでパーシーヴァーになれるとか…。エージェンシーがこれを欲しがっているっぽい。
とまぁ、こんな感じ。他にも物語の後半で2つくらいあるんだけどここからは見てもらったほうがいい。あまり多く語りすぎるのも良くないからね。
でも正直今明かしても物語に差し障りないくらいこの2つも重要単語じゃないんだよね…。
本作品とにかく無駄が多い。用語なんてその最たるもので、「醒剤」とかあまり物語に直結しないくせにみんな台詞で言うんだよね。だから物語通して醒剤の定義が曖昧になって終わった。
よかったねこれが俳句じゃなくて。今頃夏井先生に赤ペンで添削されまくってたよ。
この作品がどういう作品かって問われると「反発心の強い超能力者の主人公が、組織に追われながら、自分の出生の秘密を探しながら生き方を決めていく物語」だと思っている。
だったらもう醒剤とか抜きにエージェンシーは「単に対アウェアネス戦力として主人公が欲しい」でも良かったんじゃないかな。
とにかく作品を通して2つの組織の「どっちもどっち感」をグイグイ出しているのがちょっと違和感を覚えた。
別にエージェンシーが完全な正義の組織でも良かった気がする。「いや、主人公どう考えてもエージェンシーにつくオチでしょ」と考えられるかもしれないけどそこの過程に関しては本作品の強みである「疑心暗鬼にさせる展開」が大いに働いてくれるだろうから、問題はあまりないと思う。
2つめの「盛り上がりがないところ」。
この作品超能力ものだけどかなりアクションが多い。でも盛り上がりどころが完全に違う。
中盤の幻覚を二重三重に張り巡らせながら繰り広げられる闘いはよかったのだが、ラストバトルがマジでつまんない。
中盤と終盤のバトルの最大の違いは「能力を上手く使いこなせていないところ」
キャラクターじゃない、制作陣全体が能力に躍動感をつけてないんだよね。
中盤は「おぉこれも幻覚か!」となったが終盤はただ主人公が雑魚とアクションするだけに成り下がってしまっている。それも格闘アクション。能力ガン無視で闘ってる。
キャラクター同士もっと動きながら互いにフィールドのものを操りながら闘って欲しかったんだよな。
あと会話がつまんない。「それ以上近付いたらこいつ殺すぞ!」「お前がやったんだなー!」的な会話をずーっとやってる。
そこら辺もイマイチなんだよな。
ほんで倒し方もあっけない。
「あっ……終わり?!」ってなっちゃうくらいにはしょぼかった。
ただ、この作品にも良いところがある。
1つが「疑心暗鬼にさせる展開」である。
本作品敵と味方の位置が作品が進むにつれて逆転したりするところが面白い。
まぁまぁ映画見てきてるけど正直結末はわからなかった。
展開もそうだし、役者の演技も良い。本作品の敵が主人公に味方だと訴えるシーンがあるのだが、あまりにも神妙な面持ちで訴えるから「嘘だ!嘘…だよな?え、マジでいってんの?」とどんどんと自分の認識に自信が持てなくなったよね。だから感覚としては主人公と限りなく近い視点でキャラクターの敵味方の区別をつけられる点で面白いなと思った。
ラストバトルのしょぼさは凄かったけど、トリックはなかなかだった。コンフィデンスマンJPなみのドデカイトリックぶっこまれて思わず声あげた。お前声あげないと見れんのかと思った方、もともと独り言がうるさいやつなんです、赦して…。
2つめが「ヒロインがバカ可愛い」ところ。
本作品のヒロインはアウェアネスの一員のこの女の子。
キャプテン・マーベルの女優みたいにキリッとした顔立ちでクールな印象を受けるだろう。
実際そのとおりである。腕っぷしも強いしね。だけどこいつギャップ凄い。あまりのギャップの凄さに時間帯で人格が変わるタイプの多重人格者?と思うくらいキュートな一面を持ち合わせている。
指で銃のポーズしてバーンってするところとかね、吹き替えの話し方や仕草といいミステリアスさを感じさせつつも愛嬌ある演技が際立っていた。
総評
全体的に頑張ろうとしすぎて変に設定を入れたりしちゃったんだけど頑張るところが違うなという印象を覚えた。盛り上がりとかに重点置いて制作しても良かった気がするな…。
ただ、幻影を見せる能力の演出とか、その力だからこそできる疑心暗鬼の展開とかは楽しめる要素ではあった。
個人的に超能力系映画の1番は『The Witch/魔女』。アクションが度肝抜くぐらい速くて凄まじいし、なによりヒロインが恐ろしい。無表情で淡々と発砲していく様とか戦いを愉しむ残虐性とかも感じられる描写に鳥肌立った記憶がある。
2作目が12月配信開始っぽいからめっちゃ気になる。
そちらも見終わり次第レビューしようと思う。