【漫画】『終末のワルキューレ 14巻』の腹が立ったところ

最近発売された、『終末のワルキューレ』の14巻がすこぶる腹が立ったからその理由を述べていきたいと思う。

 

 

あらすじ

第6回戦、釈迦の勝利により、3勝3敗と神と互角に渡り合う人類。続く第7回戦、人類代表は始まりの王・始皇帝‼ そして、神代表は冥界の王・ハデスが緊急参戦!! 最強の『王』を決める戦いが始まる‼ 神VS人類タイマン13番勝負‼︎

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

終末のワルキューレはちゃんと毎回面白いのだが今回は非常に面白くなかった。そしてすこぶる腹が立った。

 

まず新キャラ。

14巻には今後の戦士として出場するキャラクターが序盤に出てくる。

それがノストラダムス

ルネサンス期フランスの医師で「ノストラダムスの大詩集」の著者である。

おそらくこの大詩集によって人々はだいぶ翻弄されたであろう。今回もその出来事を彷彿させるような台詞を発する。

 

予言しよう!今回のラグナロク、神側が勝つ!

 

ブリュンヒルデに従順なワルキューレ、ゲルは信じてしまう。そのゲルを見て吹き出しそうになるノストラダムス

ここね、ゲル=人類滅亡の日に戸惑う人々みたいな構図でいい感じにノストラダムスのキャラ性を出せていた。

そもそもワルキューレは「神と偉人が戦ったらどうなる?」に重きを置いているからあまりキャラクターを深掘りしていない。輪郭捉えている程度である。

だが読み手も「神と偉人が戦ったらどうなる?」というところを中心的に見ていると思うからこの程度で良いんだと思う。

現に、漫画好きの父がこの作品を読んでいるのだが近頃の感想が「やっぱり展開が思った通りなんだよなぁ」なのだ。

この場合の展開は試合の展開なのだろう。キャラクター性よりもやっぱり試合でどちらが勝利するのかが読者は気になるのだ。

だからキャラクターなんて厨二病患っている人が偉人を調べて有名なエピソードをキャラクターとしてもってきた~みたいな形で良いと思う。じゃなきゃ偉人を見て「ああこういう人ね」ってのが容易に想像できないからね。

ノストラダムスもそれにあやかってああいうエセ予言をかますうざいキャラで良いと思う。人類滅亡の予言の前、確度の高い予言かましたから人類滅亡の日が恐れられていたんだけどそれはみんなにとってはお構い無しで、地球最後の日を外したやつとしか想像してなさそうだからああいう輪郭だけを捉えたキャラで良いんだと思う。

だけど問題はこのあと。

 

ノストラダムスの能力が列伝の枠を超えている。

 

何なんだよヤバすぎて冥界に飛ばされるって。

聞けばどうやら主神しか渡れないビフレストを破壊したらしい。

 

零福のときもそうだったが最近のワルキューレは列伝までも作っている傾向がある。

今までは違ったのだ。ちゃんと列伝自体の元ネタはあってそれを超拡大解釈してかっこよく描いていたのだ。

だがもうこの列伝はノストラダムスの人生のなかで全くない。

もうこれっきりにしてほしい。僕はノストラダムスについては全く知らないのだがそうはいってもこのエピソードはないだろと一瞬でわかった。

そして人類側の切り札まで言われているしね。言うほどじゃないだろ!という。

占星術錬金術には精通しているようだけどそれならそれを生かしたエピソードでヤバさをだしてほしかった。

もう予言のクソもないからね。

 

始皇帝の登場はよかった。

好!(ハオ!)と中国語で返事するのは謎だけど(やるならずっと中国語喋って!)中国最初の王らしい登場の仕方で面白かった。

問題はこのあとの開戦後の台詞。

 

神側闘士にしてポセイドンの兄、ハデスの一撃を受け流して逆に吹き飛ばした始皇帝はこう言う。

 

"冥界の王"ハデス……と言ったか?

教えてあげよう

世界に王は朕ただ一人

 

まだ闘(や)るか?ハデスとやら

 

起き上がったハデスは始皇帝にこう問い掛ける。

 

始皇帝だったか?ひとつ聞かせろ

貴様にとって…"王"とはなんだ?

 

ここら辺が聖杯問答みたいなのはさておき。

二人はとにかく名前を呼ぶときくらい自信もて。

「~と言ったか?」とか「~とやら」などの言い回しを漫画のようなすぐ読み終わる形式の作品で出されると間隔があまりにも短く感じて違和感を覚えてしまう。

つけたくなるのはわかるのだ。絶対的な王であることを描写したいがために、他者に対して無関心であることを表現したくなる。

でも同じ言い回しを短いスパンで言われると非常にムカムカする。

言い回しはひとつはあっても良いが別に始皇帝の二言目も「まだ闘るか?ハデスよ」でもいいしハデスの問答も「始皇帝、ひとつ聞かせろ?貴様にとって"王"とはなんだ?」でも良いと思う。

同じ言い回しを二度三度出されるとストレスが溜まっていくから言い回しはしっかりと考えてほしい。

 

そして最後。

始皇帝、目隠し解いたらダサすぎる。

 

近年、目隠しに関してはややハードルが上がっている気がする。

その急先鋒を行くのがやっぱり『呪術廻戦』の五条悟だろう。

 

目隠しあってもカッコいい五条悟なのだが目隠し解いたらもっとカッコいい。五条悟が男女共に絶大な支持を得ているのが頷けるほどカッコいいのだ。

 

目隠しするからには解いたらかっこよくあってほしい。かっこよくなくても強烈なインパクトがあってほしい。目隠しをして制御しなければならないほどのインパクトがあってほしい。

という考えがやっぱり読む側の心理としてあると思う。

 

今回の始皇帝のビジュアルはすこぶる良い。目隠しは勿論、着物を肩まで羽織らないところとか読者の「カッコいい」をしっかりと把握しているんだなと思うビジュアルをしている。

そんな始皇帝がラスト、ハデスの攻撃をくらい目隠ししていた布が血でベトベトになった為脱ぎ捨て、目を露にする。

 

あぁ残念…と呟いてしまうようなつまんない眼をしていた。

五条悟味を期待してしまった自分の落ち度なのかよくわからないが「これはないだろ」というくらい味気ない普通の眼をしている。

お前それならずっと目隠ししてろ。

と思うくらいに。

そして一目で「あ、これは目隠ししないとダメだな」と思わせる眼をしてないのも残念。

五条悟の眼は見るからにヤバそうな眼をしている。

六眼(りくがん)と言うのかな?あの碧眼は。見るからに「あぁこれは目隠しした方がよさそうだ」と直感的に思ってしまうインパクトをしている。

そこが物凄く残念だった。

始皇帝が目隠しをしている理由については次巻で明かされるのかな?

ちゃんとした理由が欲しいものである。

 

総評

色々なところが気になって非常に腹が立った。

肝心なストーリーに関しても過去の闘いと大差ない、いつも通りの闘いでちょっと退屈であった。もうマンネリ化したのかな?と思いつつあるからどこかで「この闘いでしかできない!」みたいな独自性が欲しいものである。

今回だったら「王同士の闘い」だから王にもっとフォーカスした闘いをしてほしいな。

極論、ギルガメッシュイスカンダル、セイバーみたいな王の器量を問う話し合いで良いと思うがそれはそれで退屈か。

とにかく、次巻に期待する。

 

ちなみに僕の好きなキャラは佐々木小次郎かな。「やっぱ勝つっていうのは、気持ちいいもんだね」が凄く感動した思い出。

一番興奮した闘いは零福vs釈迦ね。闘いを通して零福が矯正されていく様がよかったし釈迦のキャラクター性が一貫していたし、小細工を沢山もっていて読んでいて飽きなかった。