【映画】ミスト

Amazonプライムビデオで『ミスト』をみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

その夜、激しい風雨と共に雷鳴が轟き、町を嵐が襲った。湖のほとりに住むデヴィッドは、妻のステファニー、5歳の息子ビリーと地下室に避難していた。翌日は晴天。しかし、デヴィッドは湖の向こう岸に発生した霧の壁を見て不安になる。それは不自然にこちらに流れてくるのだ。息子と共に買出し出掛けたデヴィッドは妻に連絡を取ろうとするが、携帯電話も公衆電話も不通になっている。スーパーマーケットの中へと入ると店内は大混雑。すると突如大きな地震に襲われ、外は霧に囲まれて身動きが取れないまま、彼らは店内に閉じ込められてしまう…。

Amazonより抜粋)

 

 

 

レビュー

面白かった。観た後、ただただ虚無感しか残らない作品であった。

 

本作品はSFである。侵略系のSFである。

主人公が息子と隣人を連れてスーパーにいったら霧に囲まれ、そのなかから触手や巨大昆虫などがわんさか出て人間たちの心理までも蹂躙するという話ね。

本作品の噂は薄々耳に入っていた。というかラストの動画見たことある。

映画史上トップクラスのラストね。「お前このラストの為に映画作ったろ!」とは思うがそれはさておき。

 

この作品は非常にレビューが難しい。何なら面白いと面白くないで測れる作品ではないなとも思う。正直この「面白い」という結論に至るまでとても時間がかかった。

じゃあ何故、僕がこの作品を面白いと言うか。それは「自ずと感情移入してしまうストーリー性」である。

 

この作品は普通の侵略系SFと違い、侵略者退散に注力にした話ではない。侵略者退散よりも部屋に閉じこもり、情報のない生物に怯える人間たちの心理に注力した話である。

これがとてもリアルで。おそらく宇宙人攻めてきたら間違いなくこうなると思うくらい現実に肉薄していた。

物語の前半。開けたシャッターからでてきた触手により一人犠牲になる。それをその場にいなかった者たちに報告するのだがまったくもって信用されない。

「馬鹿にするのはよせ」「ふざけるな」沢山言われる。

でもこれは無理ない。このときまだ侵略者の姿を目認したものは少なかった。デイビッドとスーパーの店員オリーと町の人間二人。これは実際に触手と闘ったから侵略者の姿を黙認している。あとはスーパーに閉じこもるきっかけを与えたおじさん。彼が「何かに人がさらわれていった!」といったのだがそのときの彼が鼻血を流していたりそのあとガラス越しに男が霧の中でうめき声出すシーンがあったから信用された。

だがそのケースとは違ってデイビッドのシーンは全員が侵略者を目視していない。まあ「からかい」や「精神参ってる」としか思われない。

 

でもこういう下りは割とある。侵略系SFとか映画に問わず、弱いと思ってたやつがありえないくらい強い攻撃してその事実が流布され周囲が耳を疑うとかね。いくらでもこの下りは作れる。

でもこの作品はこれだけではない。

 

物語の中盤で旧約聖書を信じる女が終末を悟った言い回しでスーパーの人々を扇動しようとする。「今日の夜、バケモノが来て誰かの命がなくなる!」とかいったらその夜、本当に侵略者が押し寄せる。

ポイントはそのあと、それまで信じることがなかった人間が藁にも縋る思いで彼女に付き従うのだ。

ここ、人間の無力さが引き出されている。血相変えて拝める演者たちの芝居は勿論彼らの陣営の行動原理が切なくて観ていて辛くなった。

 

こんな風にこの作品はシーンの要所要所胸に来るものがある。それらは大体切なさなんだけど気づけば作品に同情してしまっている。

ブロガーとしてレビュアーとして結構多角的視点で作品をみるのだがいつしかそれを忘れていた。というよりかはレビューする感性がシャットアウトするくらい同情させにきてる。

 

そして最後ね。店の外に出ることを怖がる人々を置いてデヴィットは息子などを連れて外にでるのだがガソリンが切れる。

ここまでだと悟った一行を、残った弾丸四発で射殺する。一人残ったデヴィットは侵略者の登場を待ちわびるがそこに来たのは侵略者ではなく民間人を保護した軍隊であった。

あのときスーパーに残れば…。ってことなんだよね。空しすぎる。

これがミストのキャッチコピー「霧の先に何が待っていたのか」なんだよね。

これがやりたかったんだろー?!でもここで虚無感になったからここに関しては何にも言えない。

制作陣の狙いにまんまとはまっちゃったよね。にちゃっているんだろうな…制作陣。

 

演出に関しても素晴らしくグロくてよかった。感情移入に一役かっているんだよね。「うわうわうわ…」と同情心が上乗せされた。

グロ映画もみている方だが今のところスリラー系映画をおさえてダントツにこの映画がグロいと思う。

 

総評

もう二度も観たくはないな。レビュー脳崩壊されたもん。

でも侵略者と遭遇したとき、きっとこうなるんだろうな。

見知らぬ人を信じるのは危険。だが見知らぬ人を信じない結果がもたらす結果もまた結果。

時と場合だよね。僕は鬼気迫った人のいうことにはなるべく信じようとは思う。

でもそれでだまされたらのことを考えると…うーん。

やっぱり信じられねえ!

侵略者?!おいおい馬鹿にしているのか?!

 

うん、僕間違いなく侵略系SFだったら序盤に死んでいるな。