【映画】OLD

友達と『OLD』をみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している――「私の息子を見かけませんでしたか?」「ママ、僕はここにいるよ!」母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?海岸に打ち上げられた女性の死体、次々に意識を失う人々、砂浜に残された謎のメッセージ――不可思議な出来事に直面する彼らは、やがて自らが急速に年老いていく事に気付く…。果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

 面白かった。ご都合主義な設定や多種あるギミックは悪目立ちしたが、他のスリラーとは一線を画する面白さをもつ映画であった。

 

本作品はホラーというよりスリラーである。

リゾート施設に来た客がそこのお偉いさんに「特別なビーチがあってね~」とそそのかされてなされるがままに老化促進ビーチにいきバンバン登場人物が死んでいく話。

ホラーみたいな脅かし要素はそこまでなかったかなーギミックやオブジェクトの怖さよりもシチュエーションの怖さをひしひしと感じるスリラー要素が多かった。

 

で、この作品はみる前と前半みていたときは「どーせミッドサマーみたいなオチだろ?」と思っていた。

言ってしまえば胸糞エンド。

わけのわからんところに連れ込まれてそこの環境に翻弄されながら、最後は自我を失い環境に順応していく…みたいなね。

僕の前半みて思い描いていたオチはこう。

 

ビーチのわけわからんギミックに翻弄され、老化によって伴う様々な肉体現象(認知症や視力・聴力の低下)を各々体験していく。そして子供だった兄妹も最後砂遊びとか、思い出の遊びに浸りながらゆっくりと老衰で亡くなっていく…

それを確認した黒幕が、ビーチに向かわせた目的を仄めかし、また客に主人公たちと同じような台詞で「ビーチに行かない?」と誘って終わる。

 

大体こんな話だろうと思ってた。

現にホントにどうしようもないくらい脱出不可能なギミックしてるから。

ここはね、ご都合主義過ぎるんだよね。

脱出しようと思ったら気絶して夢オチしてるとか何なんだよ。ギミックが気持ち悪すぎる。

ゲームみたいじゃん。リスボーンみたいで現実味がない。

それを特殊な鉱物、だけで片付けているところがホントに設定不足。

なかでも中盤。岩壁を上って脱出しようと考える。だが上っている最中にまた気絶する。

僕なら岩壁が高過ぎて試みても足場がなくて落ちて死ぬ…っていう風にするな。

なんでもかんでも気絶させて「抜けられないんだぜ!ガハハ」というのが言ってしまえば馬鹿。

まぁそれいってしまったら老化促進もそうなんだけどね。

 

そんなご都合主義たっぷりの脱出不可能ギミックしてるからてっきり胸糞エンドかと思ってた。

だけどこれが違う。

 

言ってしまえば、脱出するのだ。

 

リゾート施設で出会ったお偉いさんの甥と仲良くなっていたトレント(この作品の主役サイド家族の長男)はイドリブ(長女)と童心にかえって砂の城を作っていた。だがイドリブは「もう一度脱出チャレンジしてみる?」の一言でトレントは甥からの謎解きメッセージを取り出し解読を始める。

サンゴに行けば脱出できるとわかった二人はサンゴに向かい、見事に監視の目を掻い潜って脱出する。

 

そして、持病持ちの人間に薬を投与させて老化促進ビーチにいって爆速治験実験をさせようとするリゾートのスタッフを妨害するのだ。

 

そのやり方がホントね…スカッとするのだ。ここは鮮やかすぎて思わず笑っちゃったよね。

薬が入ったドリンクを客に運ぼうとしたスタッフにトレントがぶつかり「僕ならそんなの飲まないね」と言う。

ここからリゾートにいた警察官やらが事件を暴き、治験実験を行っていたリゾートとウォーレン製薬は逮捕される。

これ絶対罪深いよな…治験実験というかもう人体実験だからなー大量殺人だよね。

胸糞で終わらない力強く鮮やかなラストに惹かれた。

 

まぁあとはスリラーというフィールドのなかでのびのびと目も当てられない展開かましていたのがよかった。

つい数時間前4歳くらいの少女が妊娠するんだからね?

グロいったらありゃしない。セックスするトレントトレントだが。

身体だけじゃなくて精神も成長していくというのがやっぱりよかったなー

特に認知症。脈絡ない言動。情緒不安定さが嫌というほど引き出されていて本当に老いるのが怖くなった。

 

あとデスゲーム感も出せていたね。

閉じ込められた際に、互いを理解する為に職業、名前を語るところとかその職業が生かされる描写だったり、デスゲーム作品にいがちな「ねぇ!一回落ち着こう?話し合いをしたら解決の糸口が見えてくるよ!」系キャラクターもいて、とてもリアリティに富んでいた。

絶対あの環境にいればああなってるよ!っていう…

 

総評

とても面白かった。スリラーとしてのグロさ、醜さから出る面白さがほとんどだったがラストの成敗エンドはそれらの面白さを一新させるインパクトがあった。

必ずしもスリラー映画は胸糞エンドではない。

っていうことだね。

もう『ミッドサマー』といい、『クリーピー/偽りの隣人』といい『ビバリウム』といいみんな胸糞エンドなんだから!

もう!ぷんぷん!