【映画】アテナ(ネタバレあり)

Netflixで映画『アテナ』を観たからそのレビューをしようと思う。


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あらすじ

ひとりの少年が殺害された悲しい事件をきっかけに、激しい戦いの舞台と化したアテナ団地。その争いの渦中には、被害者である少年の兄たちがいた。

 

レビュー

面白かった。復讐をテーマに揺れる兄弟の様子が重厚に描かれている社会映画だった。

 

ネトフリはあらすじが抽象的過ぎるんだよなあ…

もうちょい掘り下げるとこう。

フランスのアテナという地区に弟、イディールが警察官に殺された三人の兄貴がいる。名前はそれぞれカリム・モクタル・アブデル。カリムはイディールの仇を討つべく民衆と共に警察に対して暴徒活動を行っている。モクタルは麻薬の密売人、アブデルは警察官として暴徒活動を行うカリムの身を案じていた。

互いに相反する環境に身を置いている彼らをよそに警察はカリムたちのアジトに強行突破を試みる…

 

冒頭10分のワンカットシーンをみると「あーカリムなのかな?主人公」となるのだが実はそうではない。俯瞰的に三兄弟を描いているから彼らが身を置いている環境がしっかり描写されているんだよね。異なる社会で生きているんだな…とある種のドキュメンタリーを見せられている気分になるくらいここの描写は上質に作られていた。

まあただ俯瞰的とはいえ、カリムとアブデルの勝負がメインである。モクタルはブツ(麻薬)かくしてもろて…という感じでモクタルそっちのけで二人が勝負している。

まあ対立している組織に身を置いているからこっちに焦点あてられているのは仕方ないとはいえ、モクタルのキャラはもっと冷酷非情でも良かったと思う。前半では情報を引き出すためなら暴力も厭わないキャラだったが後半渦中にある人物をかくまったりと妙に優しさがでていてブレがあるように感じた。

おまけにそこからアブデルに英雄が何だのとそそのかされているところが不必要性が目立っていてちょっと退屈だった。

ただ、アブダルとカリムの衝突は素晴らしかった。

やられたらやり返す主義のカリムと、復讐の空しさを知っているからこそ彼を改心させようとするアブダル。

ここらへんは復讐ものお決まりの「復讐しても亡くなった人は戻ってこない!」みたいな言い合いになっていたけど、このシーンで見てほしいのはカリムの動き。

暴徒活動まだまだこれからというときにニュースで「イディールを殺したのは警察官を模した極右集団」というニュースが流れていたのだ。カリムはニュースを見て涙ぐむ。

そりゃそうだ。今まで何のために暴徒活動やってきたのかわからなくなるからね。でももう民衆はノリノリ。もう引き下がることはできない。

だからこそアブダルが「お前もこちらに来い」と言いハグしたとき、しばらくつきはなさなかったのはカリムの心の弱さみたいなのがでてたんだなと思う。間違っていたらごめんなんだけど、そういうカリムの想いとアブダルの想いがぶつかり合う意味でも衝突シーンはかなり見ごたえあった。

だがアブダルの説得空しく、カリムは警察官に殺される。

そしてここからね、皮肉なことにイディールとカリムの関係性がズレるようにアブダルに移る。「警察官にイディールを殺されたと思い込み警察に復讐を誓ったカリム」から「警察官にカリムを殺されて警察に復讐を誓ったアブダル」へと主人公が変わる。

カリムを見向きもせず、逃げることを提案するモクタルを殴殺し、カリムに変わって民衆に命令をしていくシーンは鳥肌が立った。

ただ、やっぱりアブダルは復讐の空しさを解っていたんだよね。おまけに殺したのは警察官ではないときた。灰飛び舞う部屋の中、悲壮な顔を浮かべるアブダルはどこかミュージカル映画を彷彿とさせていたが彼の心のなかの暗い暗い感情がでていて非常によかった。

 

総評

以前から話題になっていた冒頭10分ワンカットシーンは勿論、民衆vs警察の描写が色濃くされており、そこに属する三兄弟の想いがぶつかり合う様子が非常に面白かった。

復讐がベースの作品には全くない「復讐の空しさを知るものが遺志を受け継ぎ復讐を目指す」という流れが個人的にとてもグッと来た。

ラストのイディールの死の真相の出し方と言い、展開やら何から何まで洗練された良い社会映画であった。

結局極右集団というのが…ね。

でもこれが作品を通してのメッセージなんだよね。都市伝説みたいな語り口調にはなるかもだけど、こうやって社会で起こっている様々な出来事は両者間ではない第三者的な存在の思惑が動いているのかもしれないってことを作品が伝えにきていて下手なホラー映画よりもぞくっとした。

そういった点でも社会のあらゆる出来事に「本当はこうなのではないか」と考える、リテラシーみたいなものが求められるなと思った。

とても良い映画であった。

 

【映画】ブルーサーマル

U-NEXTで映画『ブルーサーマル』を観たからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

普通の大学生活に憧れて長崎より上京した都留たまき。入学早々ある事故でグライダーを傷つけてしまい、弁償のために体育会航空部の雑用係をする羽目に。しかし、主将・倉持のグライダーで空を飛んだことをきっかけに、たまきは青空の世界に夢中になっていく。

(U-NEXTより抜粋)

 

レビュー

面白くなかった。全体的にあっさりしすぎていて、前のめりになって見れない映画であった。

 

本作品はグライダーを使った競技に没頭する大学生を描いたアニメ映画である。

そのグライダーっていうのも最初「鳥人間コンテスト?」と思いながら見てたのだがそうではないらしい。

鳥人間コンテストみたいに手動で飛ばすんじゃなくてレバーで飛ばす、もうガッチガチに出来上がったグライダーで競技する。

でもグライダーの性能ではなく、操縦者の技量によって大きくスピードとかが変わるためそこがスポーツ要素の肝となっている。

でも見終えた今思うと鳥人間コンテストに青春捧げるお話の方が遥かに面白かったかもしれない。

 

このスポーツ要素があまりにもあっさりしているのだ。

上昇気流で後ろの座席に座る審査官から「これ以上は危険です!」といわれたときに「もうちょっと傾けさせてください!お願いします!」と主人公が打診した直後に何とかなったりとか。

グライダーの技術的なところはあんまり理解してなかったけどあまりにも台詞の直後すぎて困惑した。

その点鳥人間コンテストならやり方によってはこってこてのスポ根要素を引き出せると思うんだよな。

グライダーを作って主人公が中に入って飛んでいるときに落ちそうになるけど踏ん張る…みたいなくだりだけでだいぶ画になる。

やっぱり競技シーンにはアクシデントがつきものなんだけど、それを振り切る力強さみたいなのがあまりにもなくて面白味がなかった。

 

でもこれがスポーツ要素だけじゃない。

話全体でとってみてもあっさりしている。

 

例えば航空部に入って早速行われた合宿で紆余曲折あったけど航空部で頑張ってみたいとたまきが倉持に話すシーンがあるのだが、ちょうど話し終わったあたりで駐車場の縁石みたいなところにたまきが座り込む。

あっ、もっと話すんだな。話すとしたらなんだ?たまきが倉持に何故グライダーをやり始めたかとかきくのかな

とまず思う。

だがそのまま次のカットに切り替わったのだ。

「いや…ないんかい!」とツッコミたくなるくらいあと一歩のところを踏み込んでなくてあっさりしているのが気になった。

 

特に終盤。

たまきの部活の先輩である空知が退部届を出したりとか倉持がドイツでグライダーやるため大学やめたりとか色々とアクシデントが起こるのだがそのなかで部活の同期に「あんたはどっちが好きなの?!空知なの?倉持なの?」みたいなことをたまきはきかれる。

後半になってから空知とたまきの距離感が縮まっているから恋愛的な要素は絡んでくるだろうなと思った。

で、話が進むにつれて退部した空知よりも安否不明になった倉持の方がことの重大さが重くなっていく。

倉持のことを尊敬していたたまきは関東大会を優勝しすぐさまドイツに行って倉持が消息を絶った場所でグライダーを飛ばす。

ここでタイトル伏線の、幸せをつかむ風「ブルーサーマル」をつかんで倉持をつなぎとめるって話になる。

「もう勝手にいなくならないでください!」みたいな告白じみたことを言うたまきだったが結局恋愛面は解決しないまま「倉持みつけられたねーよかったねー」オーラ全開でエンドロールに移る。

 

いや本作品最大のツッコミどころは実はここで。

いや恋愛面はぁ!

 

と、粗品みたいな形相で流れ行くエンドロールにツッコミいれたわ。

観る側のニーズをまるでわかってない。というのはあるのだが、それ以前に自分たちで撒いたタネは自分たちで後始末しろってことなんだよね。

「あんた倉持と空知、どっちなの?!」という一言があったからこちらはてっきり恋愛方向に移るんだなと思ったのだ。

だが結局音沙汰なし。

ハイロー風に言うと「自分でケツ拭けや」っていう話よ。

ここは本当に消化不良だった。

 

あと空知に限っては退部したくせにちゃっかり関東大会にいるからね。

もともと退部届だしていたが「合宿終わったらでいい?」と倉持にいわれていたのだがその合宿終わっても終盤の関東大会に何食わぬ顔で参加しているのが最高にハテナだった。

3年生になったらパイロットの実地訓練があるから合宿いけない…みたいなのが理由らしいからもしかしたら2年生であるうちは部員なのかなと思ったのだが後輩たちに退部を明かしたときの重々しさはもうこれから辞める人のそれだった。

だからそこが凄くよくわからなかった。

 

総評

面白くなかった。これに尽きる。なかなかここまで面白くないアニメ映画ってないんじゃないかなとすら思う。

「こいつ、風が視える…!」みたいな天才肌をうかがわせるシーンがあったのは個人的によかった。

でも全体的に感じた消化不良感が拭えずこのようなレビューとなった。

これは最早作品としてどうなのよレベル。

そしてこの映画、主役の声を女優が演じているのだが演技ガーと言う以前にこのザマである。

ちなみに演技は微妙だった。まぁ仕方ないよねとここは目を瞑ったしそれに演者が女優であっても面白いアニメ映画はあるからね。

 

ここまで消化不良になることはなかったから絶対明日のお通じ悪いですな。腹痛薬を先に飲んどこ。

【映画】HiGH&LOW THE WORST X

映画館で『HiGH&LOW THE WORST X』を見たからそのレビューをしていこうと思う。


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あらすじ

SWORDの「O」鬼邪高校。

定時と全日に分かれるSWORD地区最凶の不良高校である。

その全日制で頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)は、

数々の伝説を持つ最強の男・ラオウをたずねて、戸亜留とある市にある鈴蘭男子高校を訪れていた。

 

その頃、鬼邪高の首を狙うSWORD内の不良達は、

虎視眈々とその機会を伺っていた…。

 

中でも、エンジ色の学ラン、通称“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平(三山凌輝)は、須嵜亮(中本悠太)という最強の男の力を手に入れ、

さらには、同じく鬼邪高の首を狙う鎌坂かまさか高校と江罵羅えばら商業高校を傘下に加え、

「三校連合」を築き、その勢力を拡大していく。

 

鬼邪高の高城司(吉野北人)と轟洋介(前田公輝)は、そんな三校連合の怪しい動きをいち早く察知するも…その時は突然、訪れる。

遂に、三校連合による鬼邪高狩りが始まったのだ。

 

不意をつかれ、急襲されてしまう形となった鬼邪高の男達。

圧倒的不利な状況下で、これまで己の拳一つで答えを導いて来た楓士雄は、

次々に潰されていく仲間達を守り抜く事は出来るのか!?

 

そして、三校連合最強の刺客、須嵜との頂上決戦に挑む楓士雄!

楓士雄の拳はいったい何を語るのか?

本物のテッペンを決める戦いが今、始まる。

(公式ホームページより抜粋)

 

レビュー

面白かった。今年見た映画のなかで1番面白いなと思わせるくらい濃密な121分であった。

 

ちなみに僕はハイローのファンである。

その圧倒的なスピードで展開されるアクション、アツイ展開…作品を彩る楽曲、キャラクター同士の関係性や組織構成が好きで本作品の各組織のPVを公開直前まで毎日何度も見返していた。

でも本作品は公開直前までかなり心配ではあった。

 

鈴蘭のメンツのビジュアルのしょぼさね。

 

まぁ我らが鬼邪高も高城司(吉野北人)を始めだいぶイケメン寄りなメンツしているんだけど鈴蘭はさ、もう不良高校の名門中の名門じゃん?

だからもうちょい段違いなビジュアルしてほしかったところではある。マーシーラオウは「THE・鈴蘭」って感じなんだけど他は何か狂った雰囲気とか強い雰囲気出したところでやっぱり脳裏にLDHの三文字が過ぎっちゃう。

挙句の果てに黒マスクしてるからね。戸亜留市にいるんじゃなくて歌舞伎町にいけよって思っちゃう。

あまりにもビジュアリティの高いメンツに拍子抜けしたのが見る前の懸念点ではあった。

 

まぁあと主題歌がゆったりしていてあんまりノれなそうだなーとか思ってた。

前作のSWAG&PRIDEはかなりアツいメロディーで主題歌としては申し分ないクオリティだったが今回は打って変わってラップに重きをおいた曲に仕上がっている。

そこもかなり心配なところではあった。

 

だけど見終えた今思うとそんなこと些事だったなって思うんだよね。

 

ストーリーとファンサービスが凄まじくよかった。

 

本作は前半と後半で結構話違うなと感じた。

前半は「楓士雄、ラオウを知る」といった感じのストーリーであった。

鈴蘭に赴いたものの、ラオウとタイマン張れなかった楓士雄は色んな人からラオウの伝説を聞き、その人柄に触れていくといった話。

マジであらすじの成分は少量だった。「瀬ノ門が鬼邪高の周りうろついてんゾ〜」的な進み具合であった。

後半で一気に鬼邪高狩り、そこからの鬼邪高の反撃が始まるわけなのだが前半の意外性が個人的にはたまらなかった。

そして前作は鬼邪高主題の初映画というのもあって「社会というレールから大きく踏み外れた人間でも真っ直ぐに、夢を追って生きている」といった不良賛歌の映画であった。

対して本作品は「不良が目指す"テッペン"ってのは何なのか」や「仲間って何なのか」に重きを置いた前作よりも深みある作品に仕上がっていた。

そういった点でもかなり本作は前作を超える面白さを持っていたと言える。

正直、須嵜と天下井の関係性は予測ついていた。

昔は仲良かったんだけど…的なね。ここまで当たっていたのはビックリしたけどちょっと予想が外れた部分もあった。

それが終盤の鬼邪高&鳳仙&鈴蘭の真三高連合vs天下井&須嵜というシーン。

このときてっきり須嵜が天下井を殴って「あのとき助けてくれたのになんで変わっちまったんだよ!メェ覚ませよ!」的な琥珀vsコブラ&ヤマト&九十九の構図を期待してたんだけど、須嵜がたった一人になった天下井のために死力を尽くして楓士雄に立ち向かうんだよね。

まだまだ展開先読み能力が欠けてるなと実感したがここは本当に感動した。

前作よりも泣かせにくるアツい展開とそれらが伝えるメッセージがかなりよくてずっと鳥肌ものだった。

 

あとファンサービス。

小田島有剣の出番の多さね。

前作アホほどなかったもんな…制作陣もそれを自覚していたのだろう。彼を頭不在の鳳仙のリーダー的な存在にして話を進めさせていたのはかなりよかった。

そして轟ね。

轟に至っては前作アクションしかしてなかったからな。出るシーン全部腕と足使いまくってる、見かけに反して物騒な男というイメージしかなかったが本作はそれに肉付けがなされている。

小田島と釣り友達だと話すときの轟見たか?そりゃもうぎこちなかっただろ!

そんでもってアクション中に見せる二人の関係性よ。

インテリヤンキー二人が互いを支え合いながら須嵜に挑む姿は見る側から言わせてもらうと「わかってんじゃん」の一言。

これまでクローズアップされることのなかった二人が垣間見れてとても充実した映画であった。

というか、本作品はかなり鳳仙自体も深堀りされている気がする。

麻雀楽しんでいる四天王とか組み手してる小田島とか、鳳仙が普段何してるのかがよく描写されていてかなりビックリした。

前作は敵だったこともあったしそんなことしてる暇ないくらい厄介事に巻き込まれていたというのもあってあまり描写されていなかったからかなりファンとしては幸せものだった。

 

おまけの鈴蘭リスペクト。

鈴蘭高校の地位でいったら今回の出てきた高校のなかで1番高いところにいる。

あのクローズの主役がいる高校なんだからね?

それを制作陣はしっかりとわかってるのよ。

特に序盤の楓士雄が鈴蘭に単独潜入するシーン。

ラオウ一派が「ラオウは人気者で順番待ち状態なんよ。闘うには整理券が必要だよ」といってハイキックを楓士雄にくらわすシーンがあった。

それをラスト、須嵜に楓士雄はかます

ここの対比がね!いいのよ…

多くは出演できないが、それでも「不良高校の手本」として作品に爪痕を残させるあたり制作陣の鈴蘭に対するリスペクトを感じた。

 

だが僕も一人のファンとはいえ、レビュアーでもある。

この作品にも当然悪いところはある。

 

三高連合の江波羅商業高校の扱いが雑すぎるってとこかな。

三大神のアクションシーンが冒頭の一つしかないってのが非常に残念であった。

風神と雷神は轟に強い復讐心を抱いているのだがその理由とかもわからないまま勝手に現れて轟に勝手にやられた。

その轟との悲願のリベンジすら描写されない始末。

理由に関しては不良狩りの犠牲になったというのがパンフレットに書かれていてそこでようやく初めて知った。

でもそれはあかんでしょ。

あんな出演者・製作者インタビューがメインのパンフレットで補完させるのはあまりにも無理がある。

「轟だけには手を出すなよ?」「あいつらは俺らが倒すんだから」と散々イキってたのにその理由も復讐シーンすらも描写されないのはかなり切なかった。

 

あとは佐智雄の不在の理由。

何かしょぼくない?とは思った。

まぁあの責任感兼ね備えているキャラを前線から退けさせるために「母の病気のために海外へ」はかなりうってつけなのだが、うーん…

説明しにくいのだが「らしくない」。

ならもう卒業とかでもよかった気がするんだよな。

卒業しても「あいつら放っておけねぇな…」みたいな感じで喧嘩合戦に参戦してもロジックは通ると思う。

用事が妙にらしくなくてそこはかなり消化不良ではあった。

 

総評

それでもしっかりと面白かった。見る前の懸念点も気にはならなかったからそういった点でも期待値以上の出来だったなと思う。

間違いなく今年見た映画のなかで抜群によかった。

僕はEXILEイケメンコレクターではない純粋なハイローファンなんだけどやっぱり劇場内の女性人口が多かったなとも思った。

でもそんな純粋なハイローファンの映画好きからしてみても本作品は高評価に値する作品であったからこの作品はかなり売れる気がする。

売れてなくても売れさせます。

クリアファイルガチャが高城司だったから引き直しも兼ねてもう一度映画館に行かなきゃいけないんだよね。

というわけで、一度見た諸君らも

 

映画館に…

 

行くぞてめぇらぁああああ!(言いたかっただけ)

【映画】ドラキュラZERO

DVDでドラキュラZEROを借りてみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

時は1462年、トランシルヴァニア地方を治めていたのはワラキア公国君主のヴラド3世。戦いに疲弊した彼の公正、公平な統治のおかげで長きにわたり平和な時代が続いていた。しかしオスマン帝国の皇帝メフメト2世が、自軍の兵士に育てるためヴラドの息子を含む1000人の少年を差し出すよう要求。ヴラドは家族と民を救うためにファウスト的取引を結び、100人分の強さと星のごとき速さ、そして敵を粉砕する力を手に入れる。しかし、その代償に人間の血への飽くなき渇望に苦しむことになった彼は、暗黒の人生を歩み愛するものすべてを失ってしまう。

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

面白かった。『モービウス』よりも複雑性はあったがやるせなさが残る話であった。

 

主演のルーク・エヴァンスってワイスピのユーロミッションあたりででてきたステイサムの弟か。あのときは雑魚でアイスブレイクでこき使われている可哀想なやつだと思っていたが作品が違うだけでここまでカッコいいとは思わなかった。

そんな本作品は一言で言うと、「君主が領地を守るために自分の領内にいる魔物から力を貰って敵軍を圧倒する話」。

主人公のヴラドはもうこの時点から串刺し公という異名がついている。

だがそんな彼は心優しい君主であり、大国オスマン帝国から「1000人の奴隷よこせ」と要求されても断る男。

「えー」とは言いながらもここはオスマン帝国の規模におののいて1000人渡しちゃうところだがこの男は違う。まさに主人公。

オスマン帝国はヴラドの息子も貰うと言うのだがこれも拒み帝国兵を殺したことで戦争勃発。だが帝国相手に立ち向かう国力がない。そこでヴラドは帝国の斥候を惨殺した領内の魔物から力を借りようとする。

まぁ魔物と対話する訳なのだがここの会話がかなり意味ない。串刺ししたときどう感じた…?とかそんな話。

ヴラドの凶暴性を引き立ててどうするんだろうと思った。

「希望に満ちた瞳をしている…」みたいな感じで普通に気に入ればいいのになんでこういう意味もなく回りくどいことするのかな。

純粋に魔物はヴラドの英雄性(凄み)とかを感じて「我の力を授けよう…」みたいな感じで渡せばいいんじゃないの?とは思った。

「三日間吸血欲求に耐えないと我の封印が解かれて暴れちゃうぞ?」みたいなことを言われたヴラドは必死に吸血衝動を抑える。

だがそれと引き換えに得た能力は凄まじく、帝国軍を圧倒する。

しかし魔物だと感じた民衆は彼を燃やそうとする。

折角お前らの為に頑張ったのにこれが感謝の気持ちか?と怒るヴラド。

奥さんのミレナが出て来て「普段の貴方じゃない!」となだめるのだがこれは仕方ないよなー

あの状況下でヴラドみたいにならない人いないでしょ。

ここは奥さんハグしたりで寄り添う形でなだめてほしかったな。

皇帝メフメトが10万の軍勢を引き連れ、ヴラドたちのいる修道院を攻めこむ。

そこでまたドラキュラパワー全開にするのだが別動隊が修道院に侵入したことで奥さんが転落死する。そして彼女の血を吸うことで魔物との三日間の約束を破る。

だが自身の血を分け与え、民衆をドラキュラ化させる。

ドラキュラ軍の力は凄まじく、帝国軍をもたもや圧倒。弱点の純銀に包まれながら皇帝と闘い、なんとかヴラドは皇帝を撃破し、連行された息子を取り返す。

だが吸血衝動にかられた民衆たちは息子を狙う。息子を手放し、日の光に照らすことでヴラドは集団自決する。

息子は皇帝となり、ヴラドは信奉者に甦らせられ、現代で奥さんと再会し、魔物が「ゲーム開始だ」という感じで本作品は終わる。

 

こういわれると「モービウスと同じじゃん!」と思うかもしれないが、終盤の複雑性が際立っているところがモービウスと異なっている。

民衆と家族を守ろうとする領主が民衆を殺しているんだよね。ここがなんとも切ない話であった。でも魔物の力を使わなければ民衆は根絶やしにされていたし、集団自決しなければどんどん人間が殺される。

賢明な判断だとしてもとても喜べるものではない。民衆と家族を守ろうとする強い信念の持ち主が民衆を殺すんだもん。

『モービウス』だって親友を殺すことになるんだけど…切なさでいったらこちらの方が上なんだよね。というか純粋に可哀想。

だって帝国への復讐心を煽ってドラキュラ化させて殺すんだから。

でもこうでもしなきゃ…という二律背反の気持ちが混ざってここは結構切なかった。

「息子を政略の道具にしない!」というミレナの想いをしっかりと守り、自決のなかで「守ったよ!ミレナ!」というシーンとかね。

でも民衆は!とツッコミたくなった。

 

あとは力を授けた魔物ね。

自分を封印したやつらに復讐するんだといっているんだけど現代にはもういないだろ!という。

まぁ復讐対象が人類ならば筋が通るけどね。お前この時代に来ても価値ないぞ?とラストは思ったね。

まぁでも「行いは前世から生ずる」を生まれ変わった妻に問いかけているところが凄く素敵だったね。

こういう終わり、割と好き。

 

能力に関してはほぼモービウスと同じ。レーダーセンスだっけ。あそこまで同じだとは思いもしなかった。

もしやモービウス、ドラキュラZEROからインスピレーション受けた?と思ったがあれはあれで原作あるもんね。

アクションに関しても十分に楽しませてもらったしなにせルーク・エヴァンスの顔面がいいね。イケメンフェイスすぎてビックリした。

 

総評

君主として、父親として悪の力を行使していく姿がかっこよくてなかなか面白かった。モービウスと似通った話だがちゃんと違うところもあり見応えがあった。

やっぱり「大いなる力には大いなる責任が伴う」。ワンダーウーマンにしろどのヒーローにしてもこのテーマが付きまとうんやね。

唯一この題材から逃れられている作品なんだろうね。『デッドプール』とかかなー。

結構自分のために動いているところあるからね。

ZEROとはいえ、前日譚とかではないし続編は作らないらしい。

ま、これ以上作るとモービウスだな、完全に。

まぁでも現代に生きるヴラドが勧善懲悪ヒーローになってくれることを祈り、この辺にしておこう。

【映画】ワンダーウーマン

TSUTAYAワンダーウーマンを借りてみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

2017年ー最強の美女戦士が来る!!ワンダーウーマン。それは、バットマンが[地球上で最強]と認めた、アメコミ界ぶっちぎりの美女戦士。プリンセスにして、地球最高レベルの強さと美しさを兼ね備えたスーパーヒ―ロー。しかし、外の世界を一切知らず、男性を見たことすらない。そんな彼女は、初めての世界で何を見て、何のために戦うのか?新次元のスーパーヒ―ローが世界を席巻する!

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

最高に面白かった。超人ヒーローだからこその視点で人間の善悪を描けている、素晴らしい映画であった。

 

ワンダーウーマンはDCのヒーローである。神様が生み出した女性民族、アマゾンの王女である。で、『ジャスティス・リーグ』のメンバーでもある。

DCユニバースの終着点なのが『ジャスティス・リーグ』だと思うのだがまだそこまで見ていない。『マンオブスティール』と『スーパーマンvsバットマン/ジャスティスの誕生』と『スーサイドスクワット』ぐらいしか見ていない。

順番意識していなかったがどうやら順番通り見ていたらしく、なら順番通り見てやろう!ということで『ワンダーウーマン』を見てみた。

 

アマゾン族出身でおそらく不老なのかな。神によって作られた泥人形の種族らしくて、隔絶された島で卓越した戦闘術や数百の言語を学んでいるらしい。

アマゾン族の目的はもともと善良な種族であった人間に嫉妬のような負の感情をいれたアレスの打倒なのかな?

で、このワンダーウーマンさんはその話を母親からきかされてアレス打倒を誰よりも強く抱いていた。

ここら辺はピュアなんだよね。ワンダーウーマンの弱点だと僕は見ている。

 

アマゾン族の島に人間の男、スティーヴが流れ着いたことで人間たちが戦争をしていることを知り、アレスを倒すために島を出るんだけど戦争に加わるとやがて知っていくのだ。

 

アレスを殺しても戦争は終わらない。ということに。

 

ドイツ軍の大佐が戦争の元凶だとみたワンダーウーマンは彼をアレスだと断定し、撃破する。

だが戦争は終わらず、ドイツ軍は毒ガス兵器を搬入している。

今まで信じていたことが嘘だとわかり、絶望するワンダーウーマン。そんな彼女に向かい合うスティーヴがめっちゃ好きでさ。

 

皆が善人ではない。アレスは関係ない。

それが人間なんだ。

だが大事なのは信念だ。

僕が戦争を理解してない?

僕だって悪者のせいにしたい。

でもそうじゃない。

皆の責任だ。

僕にも責任がある。

お願いだ。

この戦争を終わらせたいなら、来てくれ。

 

ここのスティーヴの台詞、泣きそうになった。

「問題は誰を信じるか」なんだよね。

救うに値しない人間も勿論存在する。

最近バイト始めたのだが、食べ残したくさんするお客は救うに値しない人間だと思っているのだが……でもね?

全員が全員そうじゃない。

なかにはちゃんと綺麗に平らげて会計する人もいる。

世界を救うヒーローって「人を信じる」べきなんだよね。

人の善性をいかに信じれるか。

ヒーロー映画でこういうところに着目してる作品はあまりみないから凄く感動した。

『マンオブスティール』もそうだけどDC映画はメンタリティ大事に描いているよね。

能力は副次的な要素としてみてる感じ、凄くいい。

MCUは能力とか、モチーフを大切にしてるよね。だからDCよりも豊富に作品があり、尚且つ愛されていると思うのだが、ヒーローって本来こうあるべきだよね!というのがDCなんだよね。

だからこそのシリアスの雰囲気になるのだが僕はこのDCのスタンスが凄く好き。

 

なんならヒーロー映画のなかでいちばん感動したまである。

でも話自体は『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーズ』と酷似しているなと思った。

戦時中に超人的能力もった主人公が各部門のエキスパートを引き連れて部隊を作り戦争を渡り歩く…みたいな。

でもそのなかで能力やらそういうのに囚われず、しっかり成長要素を組み込んでいたからそこの区別がされていてよかった。

 

あと純真無垢なヒーロー、ワンダーウーマンが「信じること」を弱点から強みにする展開が本当に美しくてさ。

僕正直アレスいらないと思ったもん。

まぁスーパーヒーローなのでスーパーヴィランが必要なのは道理だから仕方ないのだが、もうこの成長要素が描けている時点でヴィランいらねぇなぁ!と思った。

でもアレスのビジュアルは見事だったし戦闘も素晴らしかった。

 

総評

キャラクター性、ストーリー性共に際立っていて最高の作品であった。

久しぶりだな……悪いところなしの作品は。

どんな作品にもよかったところと悪いところがあると思っていて。だから僕は面白かった作品にもちゃんと不快な部分は極力文字に起こすようにしている。

だが本作品はそれが見当たらなかった。

とりあえずこれほど美しいヒーロー映画はあるのだろうか。と言いたい。

何なら円盤買おうかなとも思ってる。

ワンダーウーマン1984面白いのかな……スティーヴとかイケメン失った今、彼に変わる人物が来るのだろうか。

それを期待しつつ、次の作品をみようと思う。

次は……『アクアマン』?

 

 

【アニメ】オッドタクシー

Amazonプライムビデオで『オッドタクシー』をみたからそのレビューをしようと思う。

 

www.amazon.co.jp

 

あらすじ

平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

(Amazonより抜粋)

レビュー

面白かった。キャラクター性、ストーリー性ともに抜群によかった。

 

本作品はあんなルックスしておいて結構ブラックな話である。練馬で女子高生が行方不明になった!女子高生が死ぬ間際にタクシーに乗っていた!そのタクシーのドラレコをみんなこぞって取ろうとする話?でも副次的な話が結構多かったから終盤までは全然そんな話ではなかった。

 

主人公は小戸川(下の名前忘れた)。個人タクシーをやっているのだが記憶力がよく、大勢の人間から対象を見つけ出す能力をもっている。

こういう言い方すると超能力くさいがこれ、結構ぶっとい伏線だったんだね。

視界がみんな動物なら、顔面みんな個性的だからね。見終わった今思うと…ね。ここは若者言葉で言うと「ジワる」って感じ。

 

でも誰も動物面の世界観になんとも思わないよな。そこ疑おうともしないもん。

僕は当初の予定だとこの部分は、

 

動物面とはいえ、動物面ならではのシーンがない。何なら動物面しているくせに動物図鑑や猫愛でている。だから人間が行うことで成立するサスペンスを動物面でファンシーに描くことでドラマではなく、アニメの枠に収めている。ターゲット層を増やす意味でもここはなかなか上手いなと思った。

 

みたいなことを書こうとしていたわけね。

でも視覚による認知障害であることを知ったあたりから「ん?」とは思ってたんよ。ビビビ!ってね!母といっしょに『相棒』をみていたあの頃の自分が降りてきたわけよ!

でも降りるのが遅かった!

ここは一本とらされた。意識の外すぎるんだよなートリックが。ただただ脱帽。

 

そして細部にまで目を凝らしてみないといけない点でもかなり面白かった。

まぁ小戸川を軸に展開されていくストーリーではあるんだけどじゃあ小戸川を狙っているやつだったり小戸川と親しくしているやつが「どうして小戸川なのか」というところをちゃんと描いているんだよね。

ここの軸もぶっとくてよかったし、他のキャラクターの生きざまみたいのが骨太に描写されているのが凄くよかった。

僕はミステリーキッスのマッチングアプリ使いの女の子が好き。

家が貧しく、自分の部屋がない。だから一人になれる風呂場だけが自分の部屋だった。

それを度々会話に絡ませているのが良くてさ。

あ、こいつめっちゃ信念太いじゃん。と好きになっちゃったよね。

あと田中だっけ?ゲーム会社の男の子。あいつも好きでさー

あいつに限っては回想でとっていた時間がばちくそ長かったし、幼少期から現在までの長い期間での回想というのもあって結構重厚に描かれていたんだよね。

それにその前の回でモブ役同然に車に轢かれそうになっていたところに話が帰着するっていうのも消化しやすくてとても良かった。

 

ネタ的に面白かったのは矢野ね。

キックスケーター乗り回す暴力団幹部とかどういう設定かよと思ってたのだが、いざ喋らせるともっと「どういう設定だよ」と思っちゃう、そういうやつ。

会話が韻踏んでるけど、音ハメとか現実ではない訳でしょ?ってのを考えるとなかなか凄いと思うよ。

ジュラルミン まだ中身は未確認」とか気持ち良すぎる韻をかまされたときは素で「おっほほ」と笑っちゃったよね。

そこのラップ台詞が面白かった。終盤、追い込まれて韻踏めなくなったとき、「矢野さん!韻、踏んでないですよ!」と部下に言われるのマジで笑った。

今かけるべき台詞ではないだろという。

 

あとはラストの畳み掛けだよね。幸せな気持ちで終わらせないのが最高。

胸糞悪い最後って色々想像しちゃうんだよね。「え、どうなったの?!どうなっちゃったの?!」っていう。その余韻に浸るのが楽しくてね。それが「面白い」にまで発展するんだよね。

まさかメルティーキッスの代打が…ね。かなりビックリした。

でも言われてみれば「どんなやり方使っても夢叶えるんやで?」みたいなことを母に言われていたんだよね。それは「メルティーキッスの身代わりになることも厭わない!」みたいな純真な覚悟だなと受け取ってたんだけど。

まさかホントに手段を選んでなかったとは…そしてラストね。

寝ていた小戸川のタクシーにメルティーキッス代打の女の子が現れる。

代打の女の子はドラレコを持つ小戸川を殺そうとしているんだけどなにも知らない小戸川は「どちらまで?」と言う。

ここのタイトル伏線回収もいいんだけどこの緊迫感が絶妙によかった。

認知障害が治った今なら間違いなく死ぬな、あれ。というかそうじゃなくても死んでいたか。

 

この手のサスペンスはあまりアニメではないからどうなるかと思ったんだけど意外に先が読めない。

ドラマのサスペンスとどう違うのかと考えたときに、「演者の顔が見えない」と気付いた。

僕はサスペンスドラマはまあまあ見てきたと思うのだが、やっぱり見ていると演者の顔で「あ、あいつが犯人ね」と大体わかる。

犯人の演技にはあらかたの技量が求められるから無名の俳優には頼めないんだろうね……。

全員名俳優のサスペンスものとかもある。『マスカレード・ホテル』とかね。でもあれって映画だからこそできるんだよね。ドラマ1話1話でやってられるか!という。

だからこれは切っても切れない問題なのである。

 

でもアニメは違う。演者は声優。顔ではなく、声で勝負する演者。(最近は顔も求められて度々ドラマにでてる声優もいるのだがそれは置いといて)

声に技量とか格の違いはやっぱりある。本作品だって芸人起用しているからね。

でもそんなことはどうでもよくて。結局キャラクターをみて判断せざるを得なくなるんだよね。そこがとてもよかった。

本作品みたいなサスペンスのアニメはもっと欲しいね。

 

悪いところはねー小戸川の声かな。

慣れようにも慣れない。もうちょい声太くてもよくないか?とも思った。

次回予告映像のときに、本編とは関係ない会話をキャラクター同士でみせるのだが小戸川がちょっと声を張り上げるシーンがあった。

そこの声がもうね…すみじろう。

声だけだったが、あのときの小戸川の顔はみなくてもわかる…花札の耳飾りしている少年の顔だと思うな。

もうちょい中年ならではの声を…と思った。津田健次郎さんとかは何か違うからなー誰が適任なんだろね。

でも花江夏樹にはまだ中年役は早いなと思った。

 

総評

いやはや面白かった。序盤は微妙だったが、中盤から終盤にかけての追い込みが抜群によかった。

小戸川宅の押し入れに入ってた何かが猫ってオチなのもなかなかよかった。認知障害だからこそもっとおぞましいものに見えたのかな。

最初女子高生かと思ってたからな…

というかこの作品、予想をめっちゃ裏切っていくからなかなか面白かった。

記憶消してみたいアニメですね。みんながこれに休日吸われるのも納得がいくね。

 

だからみんな!

GWはオッドタクシーを見よう!

以上!

 

 

 

 

 

【映画】OLD

友達と『OLD』をみたからそのレビューをしようと思う。

 

 

あらすじ

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している――「私の息子を見かけませんでしたか?」「ママ、僕はここにいるよ!」母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に少年から青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?海岸に打ち上げられた女性の死体、次々に意識を失う人々、砂浜に残された謎のメッセージ――不可思議な出来事に直面する彼らは、やがて自らが急速に年老いていく事に気付く…。果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

(Amazonより抜粋)

 

レビュー

 面白かった。ご都合主義な設定や多種あるギミックは悪目立ちしたが、他のスリラーとは一線を画する面白さをもつ映画であった。

 

本作品はホラーというよりスリラーである。

リゾート施設に来た客がそこのお偉いさんに「特別なビーチがあってね~」とそそのかされてなされるがままに老化促進ビーチにいきバンバン登場人物が死んでいく話。

ホラーみたいな脅かし要素はそこまでなかったかなーギミックやオブジェクトの怖さよりもシチュエーションの怖さをひしひしと感じるスリラー要素が多かった。

 

で、この作品はみる前と前半みていたときは「どーせミッドサマーみたいなオチだろ?」と思っていた。

言ってしまえば胸糞エンド。

わけのわからんところに連れ込まれてそこの環境に翻弄されながら、最後は自我を失い環境に順応していく…みたいなね。

僕の前半みて思い描いていたオチはこう。

 

ビーチのわけわからんギミックに翻弄され、老化によって伴う様々な肉体現象(認知症や視力・聴力の低下)を各々体験していく。そして子供だった兄妹も最後砂遊びとか、思い出の遊びに浸りながらゆっくりと老衰で亡くなっていく…

それを確認した黒幕が、ビーチに向かわせた目的を仄めかし、また客に主人公たちと同じような台詞で「ビーチに行かない?」と誘って終わる。

 

大体こんな話だろうと思ってた。

現にホントにどうしようもないくらい脱出不可能なギミックしてるから。

ここはね、ご都合主義過ぎるんだよね。

脱出しようと思ったら気絶して夢オチしてるとか何なんだよ。ギミックが気持ち悪すぎる。

ゲームみたいじゃん。リスボーンみたいで現実味がない。

それを特殊な鉱物、だけで片付けているところがホントに設定不足。

なかでも中盤。岩壁を上って脱出しようと考える。だが上っている最中にまた気絶する。

僕なら岩壁が高過ぎて試みても足場がなくて落ちて死ぬ…っていう風にするな。

なんでもかんでも気絶させて「抜けられないんだぜ!ガハハ」というのが言ってしまえば馬鹿。

まぁそれいってしまったら老化促進もそうなんだけどね。

 

そんなご都合主義たっぷりの脱出不可能ギミックしてるからてっきり胸糞エンドかと思ってた。

だけどこれが違う。

 

言ってしまえば、脱出するのだ。

 

リゾート施設で出会ったお偉いさんの甥と仲良くなっていたトレント(この作品の主役サイド家族の長男)はイドリブ(長女)と童心にかえって砂の城を作っていた。だがイドリブは「もう一度脱出チャレンジしてみる?」の一言でトレントは甥からの謎解きメッセージを取り出し解読を始める。

サンゴに行けば脱出できるとわかった二人はサンゴに向かい、見事に監視の目を掻い潜って脱出する。

 

そして、持病持ちの人間に薬を投与させて老化促進ビーチにいって爆速治験実験をさせようとするリゾートのスタッフを妨害するのだ。

 

そのやり方がホントね…スカッとするのだ。ここは鮮やかすぎて思わず笑っちゃったよね。

薬が入ったドリンクを客に運ぼうとしたスタッフにトレントがぶつかり「僕ならそんなの飲まないね」と言う。

ここからリゾートにいた警察官やらが事件を暴き、治験実験を行っていたリゾートとウォーレン製薬は逮捕される。

これ絶対罪深いよな…治験実験というかもう人体実験だからなー大量殺人だよね。

胸糞で終わらない力強く鮮やかなラストに惹かれた。

 

まぁあとはスリラーというフィールドのなかでのびのびと目も当てられない展開かましていたのがよかった。

つい数時間前4歳くらいの少女が妊娠するんだからね?

グロいったらありゃしない。セックスするトレントトレントだが。

身体だけじゃなくて精神も成長していくというのがやっぱりよかったなー

特に認知症。脈絡ない言動。情緒不安定さが嫌というほど引き出されていて本当に老いるのが怖くなった。

 

あとデスゲーム感も出せていたね。

閉じ込められた際に、互いを理解する為に職業、名前を語るところとかその職業が生かされる描写だったり、デスゲーム作品にいがちな「ねぇ!一回落ち着こう?話し合いをしたら解決の糸口が見えてくるよ!」系キャラクターもいて、とてもリアリティに富んでいた。

絶対あの環境にいればああなってるよ!っていう…

 

総評

とても面白かった。スリラーとしてのグロさ、醜さから出る面白さがほとんどだったがラストの成敗エンドはそれらの面白さを一新させるインパクトがあった。

必ずしもスリラー映画は胸糞エンドではない。

っていうことだね。

もう『ミッドサマー』といい、『クリーピー/偽りの隣人』といい『ビバリウム』といいみんな胸糞エンドなんだから!

もう!ぷんぷん!