【小説】春夏秋冬代行者 春の舞 上

こんばんは、wataizuです。

口内炎を患いました。噛んではないのでおそらくは不規則な生活を送ってしまった結果で発生してしまったと思います。

何も食べたくないですよね~口内炎を患うと。食事をゼリーとかヨーグルトにしてとりあえずリステリンで攻撃し続けたいと思います。

 

今日レビューするのは小説です。

名前を『春夏秋冬代行者』。

上下とあるのですが今日は上のレビューをしたいと思います。

 

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神に選ばれた者が季節の「代行者」として土地に四季をもたらす世界。花葉雛菊(かよう ひなぎく)は十年前のある事件によって誘拐された春の代行者。だが苦難を乗り越え復帰した彼女は従者の少女、姫鷹さくらと共に我が身を誘拐した者達と対峙するべく、歩きだす……

 

この小説の作者、暁 佳奈(あかつき かな)さんは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の作者としてしられていますね。本作品は暁さんが「季節が変わること」に疑問を覚えたことで生み出された作品になります。

 

「面白かった」よりも「凄かった」という感想が上回りました。

まずは設定。

他の異能系のライトノベルにも季節をメインに絡めた作品はないですよね。まずその独自性にびっくりさせられました。

異能として成立するのか?と思ったのですがこれがしっかりと成立しているんです。ただ季節をもたらすだけでなく各々代行者それぞれ能力を持っているんです。

例えば秋の代行者。秋といえば葉が枯れる時期ですよね。なので、それにちなんで代行者の能力は「生命腐敗」という能力がつけられています。触れただけで対象の活力を吸いとる。そんな風に季節にちなんで異能力が設定されているところが評価ポイントです。

また、季節をもたらす時に行う「四季歌」。

四季歌とは代行者達が受け継いで歌なのですがこれを季節をよぶ時に歌い、そして踊ります。

この四季歌の歌詞が美しいんですよ。よくそこまで綺麗な言葉を羅列できるなと感嘆してしまうほど綺麗で。でも季節の到来をちゃんと意味として捉えることができるんです。そこがとても魅力的でした。

 

次に表現。斬新だと思いました。

ところどころページを黒くしているんですよ。文庫本でそういった工夫を施している作品はあまりありませんよね。

でもそのページの黒さが雰囲気を際立たせてくれます。読んでいて瞬時に「これはその人にとって本当に辛い過去だったんだな」と読む前に感じさせます。なのでのびのびとページを使っていることにまず驚きました。

本作品はとてもテンポがよく読みやすいです。

特に心情表現。代行者は季節をよぶ神でもありながら、人でもあります。後半になればなるほど人としての思いと神としての思いがせめぎあうシーンがあるのですが、そこのところの心の揺れがしっかりと表現されているんです。自問自答みたいな流れにはなりますがそのなかでその登場人物がまわりのものにどのような認識を抱いているのかが垣間見えるのがとても上手いなと思いました。

 

内容に関してはあまり進みませんでしたね。大きなアクションをするのは下巻になります。上巻はその前段階である「これから出てくる登場人物がどのような人間か」というのを描いた内容になります。なので、回想が非常に多いです。

そして登場人物が皆壮絶な過去をもっているので話全体としてはかなり重いです。

 

まだ上巻しか読んでいないので下巻も読んでいきたいと思います。

気になった方は是非、調べてみるとよいかもしれませんね。