【映画】るろうに剣心 The Final

Netflixるろうに剣心 The Final』を見たからそのレビューをしようと思う。


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あらすじ

東京に大規模な爆撃が仕掛けられる。その首謀者は雪代縁 (えにし)。剣心がかつて自らの手で斬殺した妻・雪代巴の弟である彼は、剣心、そして世に対して深い復讐心を抱いていた。自身の過去と対峙することになった剣心。そして彼の頬に刻まれた十字傷の秘密が明かされていく。

 

レビュー

面白かった。最終章に相応しいアクション超大作であった。

 

るろうに剣心』といえば漫画を実写化して爆死しがちの昨今の日本のなかで成功していることでお馴染みの映画である。

再現度の高い演出や魅力的なキャラクター、ハイレベルの剣戟が評価され、本作で4作目のシリーズ超大作である。

 

そんな本作の敵は新田真剣佑演じる雪代縁(ゆきしろえにし)。

海外製の銃を使いまくる大富豪と全身発火する包帯剣豪と比べると少しクセがないキャラクターをしている。

まぁ比較対象のクセが強すぎるからな。香川照之藤原竜也を比較されちゃあどんな俳優出されても「あ〜ちょっとクセがないな」という感想が出るだろう。

だが本作は剣心の過去にまつわる物語である。雪代縁は有村架純演じる剣心の最愛の女性・巴(ともえ)の弟で、巴を斬り殺した剣心に強い復讐心を募らせているキャラクターである。

復讐心が強いあまり上海に渡ってマフィアの頭目となるという設定は回りくどすぎて「ん?」となったが完全に志々雄真実を超える身体能力の持ち主である。

 

そしてこの男、言動までも回りくどいキャラクターである。

 

まず冒頭。元新選組斎藤一率いる警察部隊に身柄を拘束されそうになり雪代縁が列車内で乱闘するシーン。

「逮捕できるもんならやってみろ」を皮切りに素手や乗客が落としたけん玉で警察を圧倒する縁だったが斎藤一牙突ポーズを前に両手をあげるのだ。

逮捕されない自信あるなら逃げ切れよ!お前が始めた物語だろ!

ここはとにかく逃げ切ってほしかった。で、慌てふためく警察を見てフッと笑う縁と口に咥えたタバコを離し、縁が逃げた方向を睨む斎藤一の構図でも良かったんじゃないか?とここは思ってる。

 

やることも回りくどいのだがこの男、言うことも回りくどい。

 

物語の中盤、警察署長のお屋敷を襲撃した縁の仲間の乙和瓢湖との戦闘を終え、途方に暮れながら帰る剣心に橋の上から話しかけるシーン。縁であることに気づいた剣心が「お前は…まさか…」と呟くのに対し縁は「だったら、どうする」と返す。

 

ここはラスボスとの早めの邂逅にテンション上がっていたのだが問題は物語の後半。

 

神谷道場に来た縁は左之助や道場の門下生を圧倒し、薫と対峙するシーン。「貴方が…雪代縁…」と訊く薫に縁はこう返す。

 

「だったら、どうする」

 

その言い回しハマってんの?縁は。その質問に意味はあるんか?と思っちゃうのだがそこは出方を窺う心理戦的要素なのだろう。だがその言い回しをまさか2回も使うとは思わなかった。

たかが2回と思うかもだけどこちらからしたら「されど2回」。多分縁はこの言い回しハマってる気がする。

縁が自炊できる世界線だったら、作ってるご飯の匂い嗅ぎつけた彼女が「え、今日って○○?」って言ったら「だったら、どうする」って言うのかな。

縁がババ抜きしている世界線だったら、引き手がジョーカーに手をかけて「これがジョーカーでしょ?」って言ったら「だったら、どうする」っていうのかな。

ちょっとこのあんまり使わない言い回しを2回も出すのが回りくどくて面白かった。

 

だが、最終章を飾る敵として見事であった。

回りくどかったとはいえ、冒頭のアクションシーンは闘いながら座席に座って警察を倒したりと芸術性の高いアクションが繰り広げられて見応えがあった。

そして縁自身、復讐心に駆られながらも守りたいものが自分のなかにある感じが軸があって人間味があるキャラとして感情移入しやすかった。

 

だが敵は雪代縁だけではない。雪代縁の同志が4人いる。彼ら一人一人あげると一人一人ブログ一本いけるくらいクセの強さなので抽象的に語っていこうと思う。

 

まず、警察署長を襲った乙和瓢湖。残虐性を兼ね備えているキャラでS字型の刃を両手に持ったキャラなのだが、アクションがスピード感あって楽しかった。終わったあと、キャスト欄見て「柳俊太郎?!」ってなった。結構様々なドラマに出ているイメージだけどこれほどまでアクション上手いとは思わなかったからギャップを感じれた。

 

そして同時刻に剣心と面識のある剣道の先生・前川宮内の道場を襲った乾天門。こいつに関しては結構消化不良なのよ。

自らが動くときは拳で闘うスタイルなのだが、なら最後に闘うのは斎藤一じゃなくて左之助だろ!ってなってた。というか道場を襲ったときなんで左之助が間に合わなかったのがちょっとよくわからない。あそこで間に合ってアクションすることで剣心のアクションシーンの対比になるからそっちのほうが良かったのでは?と僕は思ってる。

 

次に操(土屋太鳳)と闘った八ツ目無名異。

「やつめむみょういぃ!!!」と千鳥のノブのような声でツッコみたくなるくらい浮世離れした名前なのだがそれだけではない。

声もボイスチェンジャー使ってんのかレベルで低く、体に熊手みたいなのがついている、もうじき公開の『シン・仮面ライダー』の敵で出てきそうなキャラをしている。

見た目のインパクトは強かったがアクションでいったらちょっと薄かったかな。でも操を引き立たせるキャラとしては十分すぎる立ち回りをしていたから僕は好きです。

 

最後は剣心一行が行ったすき焼き屋を爆撃した鯨波兵庫。

腕にガトリング銃とか大砲を搭載しているFF7のバレットのようなビジュアルをしているのだが、実は縁の取り巻きのなかで一番好きなんだよな。

というのも縁は取り巻きを「剣心に恨みを持ってる同志」と称してるんだけど動機が明確なのはこいつだけなんだよね。

維新によって侍から刀を取り上げられ、生きる場が失ったから維新を導いた抜刀斎を倒そうとしているらしい。それが剣心との戦闘シーンで垣間みえたのが非常に良かった。というか安心した。

恨みを持ってるって言うからどういう恨みか気になっていたんだけど、3人が何故恨みを持ってるのか見せてくれなかったんだよね。及第点を行っている意味でいうと、僕はこいつが一番好きです。

個人的には腕のガトリング銃の銃口GANTZの武器か!というくらい青く光ってたのがツボです。

 

ここまで敵ばっかをツラツラ書いていったが本作も前作のようなアツい展開で安心して見れた。

左之助の「剣心〜!いけーーー!!!」とかね。こいつはもう「剣心!いけ!」というためにあるようなキャラといっても過言ではないからね。個人的には天門と闘ってほしかったけどね。

あと蒼紫とか公開当時にはもう伊勢谷友介大麻で報道されてたからどうなるかと思ってみてたけどちゃんとアクションしたり喋っていたのは英断だったと思う。

 

そしてサプライズ隆之介ね。瀬田宗次郎が良かった。剣心と息のあったアクションを展開していてめちゃくちゃアツかった。何なら左之助の「いけーー!!」よりもよかった。

 

でも一番は縁と剣心のバトル。超人2人の次元を超えた剣戟に圧倒された。スライディングを多用した低空姿勢でのアクションや、素手でも強い縁の強みも生かされていてかなりワクワクした。何より縁のアクションIQが高くて「その状況下でそれする?!」っていう規格ハズレの技を繰り出してきたのは興奮しすぎて声が出たからね。明らかに今までの敵よりも強さが滲み出ていて最高だった。

 

総評

素晴らしかった。雪代縁やその取り巻きには多少のヌケはあったが、ストーリー自体は多様なアクションや早い導入を通して観る側を飽きさせなかったから時間を感じずに観ることができた。

ただ、本作を通して剣心の過去が不明確なところがある。

縁との死闘の最中。「巴が望んだ平和のためにもお前を止める」と縁に言ってたくだりがね、ちょっと作中でわからなかったから若干消化不良です。

でもそこは次作の『The Beginning』で明かされるのかな。

こちらも追々見ていこうと思う。