今日はDisney+で『レヴェナント 蘇えりし者』を見た。
あらすじ
狩猟中に熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス。狩猟チームメンバーのジョン・フィッツジェラルドは、そんなグラスを足手まといだと置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまう。グラスは、フィッツジェラルドへの復讐心だけを糧に、厳しい大自然の中を生き延びていく。
レビュー
あまり面白いと感じなかった。上質だったが退屈に感じてしまう映画だった。
まず導入が長い。
この物語における導入はレオナルド・ディカプリオ演じる主人公、ヒュー・グラスが熊に瀕死の重傷を負わされ手当てした仲間にも見捨てられ、息子も殺されるシーンを指す。
これで50分。
冒頭のシーンは仲間が原住民族であるアリカラ族の襲撃を受けてグラスや息子も狩猟から駆けつけて応戦するも撤退を余儀なくされるシーン。
ここはカットして、字幕で始まる前に出しても良いと思った。
こうしてグラスとその一味は撤退して目的地に行く最中でグラスは熊に半殺しされたんだよーっていうのをいいたい為に設けたシーンなのだろうが僕は省いても良いなと思った。
ここを省いたら10分は削れる。他の熊との格闘や、見捨てられるところなどはちゃんと尺とっていてよかった。
だが中盤。ツッコミどころ多いサバイバルシーンが続く。
例えば焚火があるのに魚や肉を生で食べるパート。
計2回あるのだが一つは男と見つめあいながら牛の生肉を食べるシーン。
みるからにアリカラ族と似ているような容貌だったから生で食べる主義なのかなとは思うが「加熱してから食べた方が美味しいのに」とも思った。
そしてもう一つはグラスが川に手を入れて魚を生で捕まえそのまま食らいつくシーン。空腹が絶頂にいっても僕は近くに焚火があったら加熱する自信がある。
あと、夜が明けたら同行していた男が首つりされているなどついていけないシーンがあったが一方でなるほどなと思うサバイバル術もあった。
馬と崖から落ちるシーンがある。馬は死ぬのだがグラスは寒さを凌ぐ為に馬の腹を裂いて臓器を出したうえで中に入る。死後まもない生物の体内は温かいから中に入るというのは納得がいった。中に入れば焚火にあたるよりも広範囲に体を温められるしな。
まあこんなツッコミどころの多い中盤だがやはり話があんまり前に進まなくて退屈だった。ここら辺は何か作業しながら見てもいいようなくらいだらだらとしていた印象だ。
そして物語は終盤。
フィッツェとは別に砦についた仲間は今にも倒れそうな面持ちのグラスを保護する。フィッツェから死んだと聞いていた仲間の隊長はフィッツェを探すが時既に遅し。砦をあとにしていた。隊長とグラスはフィッツェを捕まえにいくが隊長は撃たれて命を落とす。銃声を聴いたグラスはフィッツェを見つけふたりは殺し合いを始める。
ここら辺はかなり息をのんだ。互いに立場があって…的な話ではないがこちらは目の前で息子を殺され生き埋めにされそうになったのだ。
見る側の感情が完全にグラスにいっているためフィッツェ死んでくれないかという殺意を持ちながら見ていた。
そしてフィッツェは腹を刺されながらグラスにこう言う。
こんなことしても息子は戻ってこないぞ。
一気に胸糞になったな。このセリフ、言ったもの勝ちみたいなところあるからな。ここで殺意がやるせない気持ちになる。
結局アリカラ族があらわれ彼らがトドメを刺すのだがグラスの顔は晴れることはないままエンドロールへと移る。
復讐ってこんな感じなんだろうな。スカッとはしない。むしろ復讐というのは活力なんだなとこの作品を通して僕は感じる。
グラスは熊に半殺しにあった際、傷を縫うために足を抜かれた。それ故歩くのが困難だったのだが徐々に回復していっている。
これは何故かとやっぱりフィッツェを殺すという復讐心が彼を回復へと向かわせたんだろうね。あきらめて死ぬこともできたが彼は立ち止まらず歩き続けた。
復讐心は生きる活力。果たすために与えられる人生の臨時の大目的。
ラストで彼の顔が浮かばれなかったのはフィッツェの苦し紛れの一言もあると思うが生きる目的を失ったからなのではないかというのが僕の考察である。
まとめ
展開が長ったらしく、無駄なシーンが多い退屈な映画。だが熊や復讐相手とのバトルはかなりよかった。あとサバイバル術も。
そういえば熊から逃れる方法は背を向けるのではなく死んだフリをしたり硬直すると良いらしい。グラスはその方法を実践していた。
この映画で見て、サバイバル術を実践する機会は都市にいれば限りなくゼロだが、「サバイバル映画でオススメな作品」みたいな企画があったら僕はこの映画を選ぼうと思う。
ま、そんな企画を見るのも限りなくゼロだと思うが。